2009.10.20

奥多摩登山考・山岳救助隊日誌

先日、ちょっとした機会があって奥多摩あたりへ行ったのですが、その帰りに奥多摩湖畔、小河内ダムの前にある「水と緑のふれあい館」という東京都水道局が運営しているPR施設に立ち寄ってみました。

山と湖に囲まれ気持ちのいい立地ですが、施設としての規模は大きくありません。短時間でざっと見て廻り、最後に売店に足を踏み入れブラブラ眺めていると、お菓子類に混じって書籍や雑誌のコーナーがあります。そこで目に飛び込んできたのが「奥多摩登山考」という一見ガイドブック風の単行本でした。手にとってパラパラ眺めるうち、これは!という直感が働き、隣にあった続編らしき本と一緒に直ちにレジへ。帰宅後じっくり読んでみましたが、勘は正しくやはりオススメの本でした。

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金副隊長の山岳救助隊日誌

著者は現職の警察官、それも山岳救助隊の副隊長をなさっている方です。ジャンルとしては山岳エッセイというのでしょうか。要は山で遭難した登山者の救助記録集です。著者の所属が青梅警察署であるため、舞台は御嶽駅から奥多摩駅に至る青梅線沿線の山や谷、さらに石尾根や日原川から雲取山に至る山深いエリアが中心。歩いたことのあるコースも随所に出てきて懐かしさを感じると同時に、山の危険性を再認識させられました。

雨具やヘッドランプを持たずに山へ入る登山者が多いという記述にはちょっとびっくり。「紅葉が盛りなので朝の青梅線は登山者でいっぱいだった。この中でヘッドランプを持っている人は何人いるだろう。おそらく80パーセントは持っていないだろう」と著者は言います。そして「日が暮れて下山できなくなった」という110番を受けては、救出に向かうのです。私もかつて二度ほど救助隊の活動に立ち会ったことがありますが、本当に大変な仕事です。「山で身体を鍛えるのではない。身体を鍛えてから山に登れ」「東京の山だって、観光の延長で登れるようなところじゃない。山をナメちゃいけないよ」という著者の言葉は肝に銘じておく必要があります。

「奥多摩登山考」は現地販売のみのようですが、続編の「金副隊長の山岳救助隊日誌」は角川学芸ブックスの一冊として書店でも手に入ります。奥多摩へ足を踏み入れるハイカーから登山者まで、ぜひ目を通しておくべき良書でしょう。

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2009.09.18

木枯し紋次郎

以前、シャーロック・ホームズの新訳を少しずつ読んだ話を書きましたが、その後、似たような短編ものの大作がないかと思って見つけたのが、笹沢左保の「木枯し紋次郎」シリーズです。

中村敦夫のテレビシリーズがあまりにも有名ですが、原作の方もかなりいい。もともと笹沢左保には「見かえり峠の落日」という股旅ものの傑作短編集があって、この出来がまたすばらしく(講談社の大衆文学館という文庫シリーズに入っていました。絶版になってしまったのが惜しい)、これが木枯し紋次郎の原点であると言われており、ならばいつかは紋次郎も読まねばなるまいと思っていたのですが、笹沢左保の作品って、今では手に入りづらいのですね。

光文社時代小説文庫に入っている紋次郎シリーズ全15巻、かなり大きな書店でも置いておらず、ようやく川崎のあおい書店で全巻揃っているのを見つけ、5冊ずつ3回に分けて買っては少しずつ読んできました。(あおい書店の棚は常に15冊全巻が揃っていました)

どの作品も「意外な展開」というミステリのテイストがたっぷりで、とにかく読んでのお楽しみなのですが、紋次郎が斬るわ刺すわで敵を殺すこと殺すこと、15巻で一体何人をあの世へ送ったのでしょうか。中村主水の比ではありません。

ということで、いよいよ読書の秋。一気に読まず、一編ずつゆっくりと読みましょう。

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2009.09.14

幕末史

久しぶりに仕事をしない週末だったので、積んでおいた本でも読もうと思い、半藤一利「幕末史」を手に取ったところ、あまりに面白くて一気に読んでしまいました。

新潮社の宣伝文は、「はたして明治は「維新」だったのか? 大ベストセラー『昭和史』の著者が、激動の幕末を語り下ろした待望の書」。

ドラマや小説や歴史の授業などで断片的にはよく知っている幕末から維新にかけての歴史を、著者は、講義調の語り下ろしという形で、通史としてわかりやすく提示してくれます。知識の整理として最適です。

本書を通じてよく登場する人物が勝海舟。そして読みながら思い出したのが、NHKの大河ドラマ「勝海舟」です。大河ドラマを観だしたのは前年の「国盗り物語」からでしたが、本格的に観るようになったのは「勝海舟」から。私にとっての幕末ものの原点です。主役の途中交代などもありましたが、何といっても冨田勲のテーマ曲が最高でした。洋上の咸臨丸をイメージしたと思われる画面をバックに流れる雄大なあのテーマ曲は、まさに日本の夜明けとはこういう感じなのだろうなあという音楽でした。

なお、来年の大河ドラマは幕末ものの「龍馬伝」だそうなので、予備知識を頭に入れるためにもオススメです。ちなみに私がNHKの大河ドラマを観たのは「太平記」まで。以後は、時間の無駄のような気がして、観ていません。(「花の乱」だけ少し観ましたが)

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2009.06.06

狼の肖像

作家の栗本薫氏の訃報が先月ありました。膨大な著作があった人だと思いますが、小説は読んだことがありません。正確に言うと、二十代の頃に2冊ほどトライしたことがあったのですが、作品世界というか文体といいますか、とにかくどこか違和感があって、結局読了できずに途中で放り投げてしまったのでした。よっぽどこの作家との相性が悪かったのでしょう。

しかし中島梓としての著作は別です。彼女を始めて読んだのは30年ほど前、「別冊新評」の平井和正と豊田有恒という二人のSF作家を特集した号においてでした。そこに掲載された「ダイナミズムの系譜」という平井和正論(というよりもファンレターに近い)は、当時の私にとっては衝撃的でした。人気作家にもかかわらず批評どころかレビューのようなものですら目にすることのなかった平井和正を正面から取り上げた評論家がいたことがとても新鮮で、彼女はその後「奇想天外」にも「狼の肖像」という平井和正論を連載していきました。

さらに後年には、「道化師と神」という当時の日本SFを論じた評論において、横田順彌や永井豪と並べてまたもや平井和正を取り上げています。その中で「(平井和正は)これ以上人間らしくなれぬというくらい『人間』をしか描くことができなかった。この点で、これまたどうあがいても『構造』をしか描くことのできぬ小松左京と、相補いあっているとも云い得よう」と述べていて、なるほどうまい例えだなあ、と感心した覚えがあります。

ちなみに平井和正「若き狼の肖像」のタイトルが、中島梓の評論「狼の肖像」から採られていることはよく知られています(カバーのそでの推薦文は中島梓ご本人)。やはりウルフガイシリーズは、後年のなんとか文庫などではなく、生頼範義イラストの1970年代の香り漂う祥伝社ノンノベル版(あるいはカラー口絵のあるハヤカワSF文庫版)でなくてはなりません。

ということで、まだ若かった30年前をつい思い出してしまった訃報記事でありました。

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2009.05.22

新訳ホームズ全集

本日2009年5月22日は、イギリスの作家アーサー・コナン・ドイルの生誕150年という記念の日。

ドイルといえばもちろんあのシャーロック・ホームズの生みの親として知られているわけですが、そのホームズ全集が光文社文庫から新訳(日暮雅通訳)として出ています。

この新訳、装丁が洒落ていたのと文字が大きくて見やすく、ちょっと読んで中身もかなりよかったので、とりあえず買い揃えてみました。しかし一気に読むのがもったいない。そこで昨年から一年がかりで少しずつ少しずつ読み続けてきて、いよいよあと短編数編で読み終えるところまできました。

ホームズ全集といえば、最初に読んだのは中学の頃、当時の定番である新潮文庫の延原謙訳の全集でしたが(ベーカー街の住所が221番乙となってるやつ)、この延原訳の全集は愛着があって、10年ほど前に「全60編完全収録 初版挿し絵600枚 索引3000項目」という謳い文句のCD-ROM版が出たときも、ついつい買ってしまいました。

読みやすさという点で新訳はかなりオススメですが、作品の時代背景を考えると延原訳も捨てがたい部分があって、例えば短編第1作の「ボヘミアの醜聞」のアイリーンの手紙の結びは

Very truly yours, Irene Norton, nee ADLER.(原文)
「めでたくかしこ アドラー家の出 アイリーン・ノートン」(延原訳)
「ではさようなら。アイリーン・ノートン(旧姓アドラー)」(日暮訳)

という具合。

作品としてはどれもオススメですが、個人的には最後の長編である「恐怖の谷」が一番気に入っています。

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新訳シャーロック・ホームズ全集

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2009.03.28

超音速漂流

20年以上前に書かれた航空サスペンスの古典が手を加えられた改訂新版として再登場、ということで、読んでみました。特にひねりとかはなく淡々と物語が進行するパニック小説。もちろん話にのめり込んだ後は一気に読んでしまうだけの面白さは持っています。

民間の旅客機が軍の無人標的機と間違えられ誤射されるという状況は、あの日航123便の真相をめぐる一説を思い起こさせますが、この小説では飛行機は墜ちずに飛び続けて必死に帰還をはかります。しかし軍と航空会社はそれぞれの思惑から機体と生存者の抹殺をねらい帰還を妨害します。ただその妨害が、軍や航空会社の組織的陰謀ではなく、単なる担当者レベルの稚拙なはかりごとにすぎないのですね。そこがストーリーをちょっと軽くしてしまっている感がありました。


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超音速漂流(文春文庫)

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2009.01.12

神の雫

この正月はワイン三昧。といっても飲むワインではなく読むワインの方、つまり、ワインマンガ「神の雫」であります。時間があるときにゆっくり読もうと思って用意しておいたものを、やっと読むことができました。(もちろん飲む方のワインもちゃんといただきましたが)

この「神の雫」、ドラマ化までされるそうで結構人気があるようです。読んでみると確かにこれは面白い。ジャンルで言えば「美味しんぼ」のような対戦型グルメバトル漫画というのでしょうか。主人公が亡き父の財産を養子となったライバルと争うという、ただそれだけの話なのですが、そこにワインの蘊蓄をはじめ主人公たちの出生の秘密などさまざまな肉付けがなされ、画もきれいで極上のエンターテインメント作品に仕上がっています。

物語は、十二使徒(プラスワン)と呼ばれる謎の13本のワインを一本づつ探り当てては正解を競うバトルを軸に、様々な悩みを抱える人々をワインを飲ませるだけで解決していくマンガならではのエピソードが絡まって展開していきます。

お宝を得るために課された難題を解いて競い合う、というのは竹取物語のような古典的パターン。ただし大勢で争うのではなく主人公とライバルとの決闘十三番勝負の形をとり、それぞれにサポートする人間が付いてチーム同士の争いになります。

主人公のチームは、勤務するビール会社のワイン事業部なのですが、その構成を斎藤美奈子風に分析すると「ヒーロー(主人公)+冷静な上司(部長)+知将(イタリア長介)+子ども(後輩)+紅一点(みやびちゃん)」という戦隊5人組が成立しています。外野で応援するソムリエや飲食店経営者は参謀役とでもいえましょう。

一方のライバルは、サポートメンバーこそいるものの孤高の戦士といった感が強く、また「ライバルvs主人公」の構図が、「秀才vs天才」ないし「鍛えられた天才vs未完の真の天才」という感じで、ライバルの妹がセイラならぬセーラだったり、ライバルが主人公に匹敵する能力を秘めた娘を異国で見い出して鍛えたり、その娘と主人公とがお互いの能力ゆえに意識し合ったり、このあたりはちょっとガンダムを思い起こさせます。

しかし題材をワインに限定しつつ長丁場(まだ十二使徒の半分までも解明されていない)を乗り切るのは並大抵ではないと感じてしまうのですが、それを可能にしてしまうのがワインの奥深さなのでしょう。なお料理とのマリアージュについて、中華やキムチは登場しましたが、寿司がまだ登場していません。そろそろか?

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神の雫

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2009.01.09

キーワードはタレのドボ漬け

先日、夜中に一杯やりながら久しぶりにテレビをつけてみたのですが、民放があまりにもつまらないので仕方なくNHKにしたところ、Nスペの再放送で寿司を取り上げた番組をやっており、つい最後まで観てしまいました。(「世界“カイテンズシ”戦争 寿司 vs Sushi」)

日本から世界進出を目指す「元気寿司」とイギリス発の「Yo!sushi」との対決を軸に、寿司というものが、もはや日本の特殊な食文化ではなく、世界的にスタンダードなメニューとして普及しつつあるという実態が紹介されています。その裏側では、水産資源の奪い合いが激化し、食材としての魚が将来的に枯渇してしまう可能性も出てきているわけで、世界のどこでも美味しい寿司が食べられる、と手放しで喜ぶわけにはいかないようです。

ということで、今回のオススメは「寿司屋のカラクリ(ちくま新書)」。カラクリといっても「裏側を暴く」などという暴露ものではなく、正面から寿司業界の成り立ちを紹介した好著です。

興味深かったのは、味覚は食文化=育ち=何を食べて育ってきたか、という指摘です。「高級店はネタが一番おいしく感じる状態で食べさせるが(醤油を最低限、刷毛塗り)、大衆店は、タレをドボっとつけて食べさせる」、つまりそこでネタの素材選びからして変わってくる、というわけです。

よくグルメ番組で「芸能人・有名人は美味しいものを食べ慣れているので舌が肥えている」などと解説されますが、一概にそうともいえないようで、「芸能人が大間のマグロを食べるシーンがあったら醤油のつけ方をよく見るように。もし醤油をドボ漬けして食べていたら大間のマグロのよさはわからない。」(人気が出て成功しても子供の頃から身についた食習慣=寿司を素材の味ではなく醤油の味で食べてきた=味覚は、なかなかかえられない)ということも述べられています。ただし二世芸能人は違うようで、それは子どもの時から美味しいものを食べる機会に恵まれていたということなのでしょう。歌舞伎役者の通う店に不味い店なし、とよく聞きますが、その理由もこのへんにあるのかもしれません。

ちなみに先の番組で、海外の回転寿司店で外国人が寿司を食べているシーンがありましたが、みなさん醤油をドボ漬けでした。

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寿司屋のカラクリ


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2008.12.12

内幸町の書店

2ヶ月ほど前、所用で霞ヶ関の弁護士会館まで行くことがあり、その威容と活気に、大崎にある日税連のビルなんかとは大分違うなあと恐れ入ったのですが、その帰り、久々に内幸町の日本プレスセンターの1階にある書店へ立ち寄ってみました。学生の頃よく利用していた日比谷図書館を懐かしく眺めながらその真向かいのビルへ入っていくと、書店は健在だったものの売り場の雰囲気が変わっています。ここにはたしか丸善が入っていたはずと思っていたら、いつの間にかジュンク堂に変わっていたのでした。

夕方の4時頃でしたが、そのときは客があまり見あたらず閑散としています。しかし、ざっと眺めたところ、ビジネス書を中心に品揃えは充実している模様。そんな売り場の片隅に放送大学のテキストがズラッと並んだ書棚があり、その中の「現代の会計」というテキストがいきなり目に飛び込んできました。

このように本の方から訴えてくる時は直ちに手に取って読むべし、というのが経験的にわかっているので、さっそくパラパラと眺めると、「変わる社会、変わる会計」の石川教授が講師のようです。興味がわいたのでとりあえず購入、オフィスに戻ってから放送大学のスケジュールを調べると、まさに秋の講座が開始するタイミングではないですか。

ということで、毎週月曜の午後、来客と重なってしまったときを除いて、石川先生の講義を聴きながら変容する現代の会計について教養を深めているこの秋なのです。

さてこの本というよりこの講座、特徴は、会計学なのに「仕訳」がほとんど登場しないこと(そのかわり行列式とかΣとかがでてきます)。財務諸表のひな形さえありません。まえがきによると
「本書は『会計=ビジネスのスキル』といったところに力点をおいてはいない。大きく変容する現代の会計を、歴史・理論・社会という3つの軸をとおしてトータルに理解する『教養としての会計学』を目指している。」
とあります。巷に溢れる数多いビジネス会計本に飽き飽きしている人向けの、ひと味違った会計本としてオススメです。ただし学部レベルの会計学は踏まえておくことが前提です。

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現代の会計

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2008.11.10

リビングストン発見記

ふだんなら読むような類の本ではないのに、ひょんな気紛れから読み始めて、つい一気に読んでしまいました。「緑の魔界の探検者」(H・M・スタンリー)。

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緑の魔界の探検者―リビングストン発見記

小学館の地球人ライブラリーという、歴史ものノンフィクションものを子供向け(高校生以上向け?)に抄訳したシリーズの1冊です。主人公はアメリカの新聞記者スタンリー。彼がアフリカ東海岸のザンジバルからタンガニーカ湖まで、当時まだ未開のアフリカ大陸に分け入っていく苦難の物語。その目的は、中央アフリカの奥地で消息を絶った著名な探検家リビングストン博士を探すため。そう、世界史の教科書でも有名なリビングストンとスタンリーの劇的な出会いのお話です。

ボリューム的にかなり端折った翻訳のようですが、苦難の旅の様子は十分伝わります。とはいっても、スタンリーは博士に出会ったときに備えて祝杯用のシャンパンのボトルとそれ用の銀のグラスまでわざわざ用意して行ったような旅ですから、悲壮感などは感じません。

そしてこれは全くの偶然なのですが、彼らが出会った1871年11月10日のシーンを含めて読了したのが昨夜遅くの日付が変わった夜中すなわち今日。そしてその時気づいたのが「ちょうど137年前の今日、リビングストンとスタンリーは出会ったのか!」。

Google Earth でタンガニーカ湖畔の二人が出会ったウジジという町を眺めると、21世紀の今日では住宅が整然と建ち並ぶ開けた地域のようです。リビングストンやスタンリーのキャラバン隊が数ヶ月歩いてようやく到達した道のりを、はるか離れた極東の地のデスクに置かれたモニター上で一瞬のうちに辿ることのできる現代。100年以上の時の流れといいますか、文明の発達のものすごい速度に、ため息が出てしまいます。

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2008.11.09

松本清張の「遭難」

久々に読んだ松本清張の本。
読もうと思いつつ機会がなかった作品を、30年越しにやっと読むことができました。

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遭難 双葉文庫

高校生の頃、山登りをする班(今でいうクラブ活動)に入っていた私は、登山関係の本を学校の図書室で借りては読みふけったりしていたのですが、まだアウトドア雑誌「BE-PAL」も創刊されていない当時、山の入門書などもあまりなく、学校にあったのが、たしか横山厚夫著「登山読本」という定番的入門書と、地形図の読み方の本、山の気象の本のわずか3種類程度でした。

そのうちの、たしか記憶では横山厚夫氏の本だったと思うのですが(もしかしたら違う本かもしれませんが)、その本の中に地図の読み方や重要性について述べた項目があって、そこで「地形図は計画したルートの隣接部分までもちゃんと用意して持っていかなければなりません。それを怠ったケースをトリックとして使った松本清張の「遭難」という有名な小説があって云々・・・」などという感じで本作が紹介されていたのでした。

その当時、松本清張の長編は結構読んでいたのですが、この「遭難」という短編はどの本に載っているかがわからず、読みたいと思いながらずっと気になり続けてたのでした。後になって「黒い画集」という短編集に掲載されていることはわかったものの、結局読む機会がないまま今に至ったわけですが、先日、書店の文庫コーナーの平積みされた山の中から「松本清張・遭難」という表紙の大きな文字がバーンと目に飛び込んできて、思わず手に取ってしまったのでした。

あらすじは知っていたものの、さすが松本清張、読ませます。「夜行列車を待つ登山姿の乗客が、ホームから地下道の階段、通路に二列になって長くすわりこんでいる。」という新宿駅の光景など、夏合宿に行く夜行列車に乗るため夕方に新宿駅に集合し6時間以上も並んだ自分の高校時代を懐かしく思い出してしまいました。メンバーの一人が夜行明けの急な登りでバテていくところや、稜線上の縦走シーンもリアルです。小道具である地図の使い方もさりげない。犯人の仕掛けるトリックというか意図自体には、「点と線」の東京駅13番線ホームのシーンと同様「もしうまくいかなかったらどうするのよ」という弱さがありますが、そこを一気に読ませてしまうのが、松本清張なのですね。

とにかく、30年間のもやもやが解消され、ちょっとすっきりしました。

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2008.11.06

マイケル・クライトン

ニュースを見ていたら、アメリカの作家マイケル・クライトンが亡くなったとの報。まだ66歳とのことですが、若すぎますね、残念です。

ベストセラー作家で、新作が出るたびに話題になったりしたわけですが、全部読んだわけではありません。最初は、30年ほど前、創刊されたばかりのハヤカワミステリ文庫に入った「緊急の場合は」とSF「アンドロメダ病原体」を読み、あとは映画化される直前に「ジュラシックパーク」も読んだのかな。ユル・ブリンナーが怖かった映画「ウエストワールド」(クライトンが監督)なんていうのもありましたね。

他にもたぶん何作か、いや間違いなくもっと読んだかもしれませんが、この人の作品は、読んでいる時はたいへん面白いのですが、後に残らないといいますか、時間が経つと意外に内容を忘れちゃうんです。それがエンターテインメント作家としての良さなのかもしれませんが、同時期に読んだものでは、医療サスペンスならロビン・クック「コーマ」、病原体SFなら小松左京「復活の日」の方が印象に残っています。というか小松左京なら再読に耐えるんですよね。

「ジュラシックパーク」は確かに面白かったのでオススメ。

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緊急の場合は


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アンドロメダ病原体


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復活の日

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2008.10.23

超税金対策

秋も深まってくると、個人事業者にとっての年度末までもあとわずか。節税対策には、年内に行わなければ間に合わないものもありますので、来年の確定申告での納税が心配で、という方々は、そろそろ準備の時期です。

というわけで、最近は探偵ガリレオでお馴染みの東野圭吾の短編をご紹介。

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超・殺人事件―推理作家の苦悩

ガリレオシリーズは、ドラマ化され今年は映画にまでなって大人気のようですが(残念ながら私はどちらも観るヒマなどなく)、鑑賞した人の話では、なかなか良くできた作品とのこと。曰く、演じる福山雅治のキャラクターがピッタリということとパートナー役を柴咲コウにしたことが成功しているらしいのですが、この本はガリレオシリーズではなく、タイトルに「超」がつく作品を集めた短編集です。

各作品は独立した話ではあるものの、ミステリ作家の内幕をネタに叙述トリックを多用した連作パロディ集といった趣きで、今回のオススメは巻頭の「超税金対策殺人事件」。なぜここで取り上げるかは、読んでみればすぐおわかりいただけるはず。

原稿料は入ったものの、経費がなくて、これじゃ税金いっぱい取られちゃうよーと悩んでいるフリーランサーなどは必読。というよりも、きっと業界ではこの程度の知識は常識になっているかもしれませんね。

減価償却にまで触れられていて、初めて確定申告をする人に必要経費というもののイメージをつかんでもらうための補助教材として、オススメでしょう。

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2008.10.21

南山手スタイル

書店で平積みになっていて、パラパラと手に取ったら、行ったことのある店や行ってみたい店が載っていたので、つい読んでしまいました。

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発行しているのは、バイクとかバス釣りとかの趣味や暮らし関係の雑誌やムックを出しているエイ出版社というところで、湘南とか田園都市とかを冠した「なんとかスタイル」というライフスタイル雑誌もたくさん出しています。

表紙にもある「恵比寿・白金台・目黒・品川・五反田・大崎」という地名は、子供の頃から東京南部が生活圏内だった自分などからすれば、どれもお馴染みの名前。読んでみると、明治通りの渋谷橋から古川橋を結んだラインと山手線で囲まれた港区から品川区にかけてのエリアを「南山手」と称して一括りにし、飲食店を中心にお洒落な生活空間として提示というか紹介をしているわけですが、なるほど、そういう括りは新しい視点かも、と感心しつつも、五反田とか大崎とかを昔から知る身としては、どこかに違和感も覚えます。

なぜだろう、と読み進んでわかったのは、巻末にある東五反田再開発プロジェクトの紹介記事に至ってから。つまり、五反田・大崎間の目黒川沿いの再開発エリアのイメージアップのため、半ば強引に恵比寿とか白金台を仲間に引き込んで、南山手と称して売り出すためのキャンペーンなのではないかしら。

何だか、書店でお金を出してマンションのパンフレットを買わされてしまったような気がしてきたなあ、と思いながら表紙を眺めれば、やはりどうみてもマンションのパンフレットのイメージ写真ですね、これは。

だから、もしかしたら編集もやっつけ仕事なのでしょうか、巻頭の著名人による「南山手宣言します」という目玉記事(たぶん)があるのですが、そのまた筆頭の「松山猛が南山手を巡る」という記事で、目黒川を神田川と誤記するという初歩的かつ決定的ミスを平気で犯しています。また、目黒の自然教育園と紹介されている写真が載っていますが、これって広尾の有栖川公園では?

これでは情報誌としての信頼度に疑問符がつくし、そもそも目黒川と神田川の区別が付かない雑誌に「南山手スタイル」なんて提案されても、何だかなあ、という一冊でしたが、美味しそうなお店がいろいろ載っているので、立ち読み用としてはオススメです。

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2008.10.09

変わる社会、変わる会計

今回の金融危機に関して、7日の日経に「現在価値革命の暴走と挫折」というコラムが載っており、興味深く読みました。

「投資銀行が担った金融文化の特徴は、あらゆる資産を市場取引の対象とするために、価格を時価で評価する会計思想である。」

なるほど金融問題が会計と密接に結びついているわけですね。米の金融安定化法案は時価会計の凍結を盛り込んでいるようですが、この凍結の話は以前からあって、例えば米国追従路線のわが国でも、2003年にその議論が話題になりました。その経緯は、例えば「変わる社会、変わる会計」(石川純治)をご参照。

時価会計の見直し議論では「時価の算定方法はどうなのよ」という問題と「そもそも時価会計というフレーム自体どうなのよ」という問題があるわけですが、今回は時価として選択した「現在価値」という手法が暴走を起こした、という見方もできるわけですね。

石川教授は本書で、時価会計の見直し議論を突き詰めると、「会計とは何か」「そもそも会計は何のために」という基本問題にかかわってくる、と述べています。そして、そのための視点として「会計ルールとは、資本市場のインフラにかかわるルール(会計規制)」VS「会計ルールとは、経済政策の道具」という対立構図を提示しています。

本書流に言えば、今回の金融危機は「会計とは何か、何のためにあるか、それをあらためて考える格好の生きた教材である」となりましょう。

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変わる社会、変わる会計

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2008.09.17

自由が丘の書店

先日、所用があって自由が丘へ行った際に、ちょっとだけ時間があったので周辺の書店を駆け足で回りました。

まず、駅南口を降りてすぐ目の前のブックファースト。メルサの地下にあってちょっとお洒落な感じですが店舗は狭い。品揃えもいまいち。次いで踏切を渡ってロータリー前の不二家書店へ。昔からの書店ぽくて雰囲気は悪くないのですが、都心の巨艦店に馴染んだ身としては物足りない。続いてその裏のブックオフ。ここではビジネス・会計・経済・歴史・英語・学習参考書あたりをざっと眺めて特に掘り出し物もなく、最後は、その向かいにある青山ブックセンター。自由が丘店を訪れるのは初めてです。

しかし残念ながらここで時間切れ。じっくり見れば品揃えは面白いのかもしれませんが、あまりオーラを感じない店内で、再訪することはないだろうなと思いながら店内をざっと一巡し、さて帰ろうとビルの階段を降りかけながら、何か頭に引っかかるものがあって、何やら「気」を発散している、とある書棚までUターン。そして手にした本がこれ。

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17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義

著者は千夜千冊の松岡先生。高校の社会科のうちの日本史・世界史・倫理社会をセイゴオ先生の視点からまとめ上げて一気に提示した教養書。大学での講義をまとめたもののようで、口語調で親しみやすい。帯には「大人は読んではいけません」とありますが、これはつまり「大人にこそ読んで欲しい」という意味のキャッチであることに違いないわけで、遠慮無く読みましょう。オススメ。

しかし、このように、無意識のうちに本の方から呼び止められるということがたまにあるから、不思議です。

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2008.09.13

鮨屋の人間力

スシネタでもう一冊。

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鮨屋の人間力

著者は有名な四谷「すし匠」のご主人。残念なことに私はまだ訪れたことはありません。文春新書の一冊ですが、ボリュームもなくすぐ読めてしまう。人によっては立ち読みで十分かもしれませんが、内容はオススメです。

鮨のウンチク本ではなく、「鮨屋は人間同士のぶつかり合いで成り立っているさらしの商売」という著者が半生を振り返りつつ、カウンターで対峙する客と鮨職人のコミュニケーション、あるいは河岸や弟子とのやり取りを通して、親方言うところの人間力について語りおろした本です。はじめて彼女を連れてカウンターでお鮨でも食べようという若い人などは、目を通しておいた方がよい本かもしれません。

本書の中で、例のミシュランの覆面調査の実例が挙げられています。
「調査員は、一人でやってきました。毎回違う人が4回来ました。日本人が2人に外国人が2人。外国人が初めて一人でやって来ることは珍しいので、だいたい調査員であることはわかってしまいます。最後に来た調査員は、自ら身分証明書を提示しました。」
食べながらメモをとる人はすぐにそれだとわかるそうで、最近だと携帯に料理の評価をメモするやり方もあるようです。

結局のところ、鮨というのは「素材」「仕事」「食べる場」の三つが一体となって成り立つ料理で、ネタだけ良くても、あるいは握りの技だけあっても、それだけではまだ不十分。やはり最後は、美味しくいただくという場が重要であり、それを左右するのが、お鮨屋さんの人間力ということなのでしょう。

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2008.09.10

スシエコノミー

「きらら」に続いて、スシの話題をもう一つ。

スシバトル漫画「きららの仕事」には、いろいろな必殺握り技が登場し、その技がネタとシャリに与える美味化作用の理論的解説に、なるほど!と感心することしきりだったわけですが、そうは言っても、鮨はやはりネタ次第だろ、という思いもあるわけで、特に代表的鮨ネタであるマグロなど、いかに良い素材・良い部分を仕入れることができるかにより、握りの味もある程度決まってしまうのではないか、だからそういう部位を仕入れるルートを持った銀座の高級鮨屋なぞに行ったことがない私など、まだ本当に美味いマグロの握りを食したことがないのではないか、マグロはそのうち捕れなくなるなどという話も聞くし、マグロの握りを堪能するなら今のうちなのだろうか、今度思い切って銀座に鮨でも食べに行くか、などと思いつつ読んだ本。

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スシエコノミー

タイトルに「スシ」とあるものの、本書の主役はマグロ。1970年代初めに北大西洋のマグロを東京へ空輸するノウハウが生まれてから、スシという料理が世界中に広まるまでの経緯が、鮨職人など飲食業のみならずマグロの流通に携わる人も含めた多くの人々への膨大な取材をもとに描かれています。

本としてのボリュームというよりも翻訳物特有の読みにくさでしょうか、読み終えるにはちょっと時間がかかりましたが、マグロ好きの方なら目を通しておいて損はないでしょう。(私は白身の方が好きです)

ところでマグロが食べられなくなる、という話。一つは乱獲による種の絶滅という問題があるのでしょうが、もう一つは、今やマグロはグローバル経済の中で流通している食材だという現実です。オリンピックの柔道ではないけれど、スシはすでに世界中に広まってしまった料理なので、いくら伝統の握りの技が云々と極東の島国で喚いても、いい食材はより高い値段を出す市場へ流れてしまいます。

本書の最後である登場人物が言います。中国市場を開拓しようとしている日本企業は間違っている、いったん開拓してしまえば、じきに中国人がもっと値をつりあげるだろう、世界の業者は中国向けに最高の食材を出すようになる、日本の消費者の口には質の高い刺身は入らなくなる、あと5年もすれば・・・。

p.s.
海外でのスシといえば、以前、ロンドンのデパートの地下にあったスシのカウンターで、ガリが切れたので日本人の店員に追加を頼んだら、どんぶりに山盛りで出てきて、たまげたことがありましたっけ。でもサーモンはとても美味しかったな。

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2008.08.16

きららの仕事

最近、買って読む漫画は、ラズウェル細木、浦沢直樹、とみ新蔵くらいなのですが、今回紹介するこのシリーズ、表紙の握りの写真に惹かれて第1巻を手にして以来、最後まで読んでしまいました。

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江戸前鮨職人きららの仕事

才能ある女の子が苦難を乗り越え鮨職人として成長していく冒頭は、スシをテーマにしたグルメ漫画と「ガラスの仮面」的根性漫画の融合か、と思いきや、途中からトーナメント式激闘バトルマンガへと転換していく様は、まるで昔の「リングにかけろ」のようです。

強大な敵役である坂巻慶太という鮨職人が主人公のきららよりも魅力的で(彼を主人公にしたスピンオフ作品まで出ている)、他の登場人物も個性的。主人公の出生の秘密、彼女を鍛える老師匠、暖かく見守るいい人たち、秘密の特訓と必殺握り技の応酬、謎の助っ人、リアクション満開の審判員、技やネタの解説役の雑誌記者、対戦して打ち負かした相手が今度は主人公の味方となり、次の対戦相手はどんどんと強大化していく・・・

その少年ジャンプ的展開の心地よさの中にも、しっかりと鮨にまつわる蘊蓄が散りばめられ、大人が読んでも十分楽しめます。

いささか唐突な感じで終わった最終巻でしたが、さらに敵がパワーアップした第2部「きららの仕事ワールドバトル」も始まりました。今度は世界が相手。バーンと見開き1コマでの新必殺握り技の描写など、かつて「リングにかけろ」に熱中した世代の方はぜひご一読を。

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2008.08.09

海軍乙事件

終戦の日が近づいたからというわけではないのですが、8月はどうしても戦争関連のものに手が伸びてしまいます。

ということで、吉村昭「海軍乙事件」です。文春文庫の新装版は字が大きくて確かに読みやすい。

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乙事件とは、太平洋戦争終盤の昭和19年春、パラオからフィリピン・ミンダナオ島のダバオへ向かっていた海軍の二式大型飛行艇(二式大艇)2機が、フィリピン到着直前に悪天候に阻まれ遭難、連合艦隊司令長官の古賀峯一大将が殉職、福留繁参謀長ほか数名がセブ島沖に不時着して、ゲリラに捕らえられ機密書類を奪われた事件をいいます。

「福留中将と山本中佐は、Z作戦計画書と暗号関係の図書類を入れた防水書類ケースを携行していた。むろん敵手におちるおそれがある場合には海中に投棄しなければならなかったが、カヌー上の現地人に不穏な気配は全く感じられず、ケースを海中に沈めることはしなかった。」

しかし実際は、その書類はゲリラから米潜水艦の手を経てオーストラリアの陸軍情報部へ届けられ徹夜の翻訳作業ののち海軍情報部へ送られました。これにより日本軍の手の内は連合国側の知るところとなります。さらに彼らは、それらの書類を入手しなかったかのような偽装まで行います。

一方わが国の海軍上層部の対応は、書類の紛失よりも、福留中将たちが「捕虜となったか否か」ばかりに終始し、防諜という視点を全く欠いていたのでした・・・

本書には、乙事件と対をなす「海軍甲事件」という短編も収録されています。甲事件とは、乙事件の約一年前、古賀長官の前任の連合艦隊司令長官である山本五十六大将が、ソロモン群島において航空機で視察中に米軍機の待ち伏せを受けて撃墜された事件です。

本作では山本長官の護衛に付いた6機の戦闘機のパイロットの一人(柳谷飛行兵長)の視点から事件が描かれます。この長官機撃墜に関して、例えば著名な戦史通は対談で

「半藤:このとき護衛機のゼロ戦は六機ともみんな無事だったんですが、なぜ護りきれなかったのかと後で批判されます。」
「保阪:それで、生き残った人は制裁として最前線に送られて次々に戦死してしまいます。」
<文春新書「昭和の名将と愚将」(半藤一利+保阪正康)>

と一言で片付けられていますが、吉村昭は綿密な取材を元に彼らのその後に目を配ります。

「柳谷たちに対して、責任問題は起こらなかった。六機の護衛機で十六機の敵機の攻撃をふせぐことは事実上不可能であった。
そうした事情を理解していた上司たちはかれらの責任を問うことはなく、一般の隊員たちも柳谷たちの不運に同情することはあっても非難する者はいなかった。」

海軍が気にしたのは、護衛の責任問題ではなく山本長官死亡という情報の秘匿の方でした。そのあたりの事情は、生存者である柳谷氏への取材記録として、同じく文春文庫の「戦史の証言者たち」に詳しく載っています。

暗号が解読されていることなど露知らない東京の大本営の偉い方々は「なぜ護りきれなかったのか」と憤ったのでしょうが、事情がわかる現場では当事者たちへの気遣いや労りがあったのでしょう。

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2008.07.29

銀むつクライシス

夏はやはり海洋冒険小説を読まなくては。と思いながら、小説ではなく書店の自然科学棚で深海を思わせる濃いブルーのカバーが目を惹いた一冊。

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「銀むつクライシス」
(G・ブルース・ネクト著 早川書房)


帯には「世界の海からこうして魚が失われていく」とあります。マグロもそのうち食べられなくなるなんていう話も聞きますし、巻末の世界地図や載っている写真からは海洋ノンフィクションらしい雰囲気が漂ってくるので、気になった本は取りあえずレジへ、の原則を適用です。

話の内容は2003年8月に実際にあった事件のドキュメント。インド洋南部の孤島ハード島近海でオーストラリアの巡視船サザンサポーター号が密漁船を発見。そこからケープタウン南部を通って南大西洋まで、氷山の漂う南極近海で20日間にわたる追跡劇が演じられました。追う巡視船と逃げる漁船ビアルサ号の緊迫した状況の合間に、水産物業者や飲食店が新しい食材の需要を開拓していく経緯が描かれます。

その食材が、タイトルになっている銀むつで、その正体は、以前は誰も口に入れることのなかったマゼランアイナメという深海魚です。これが様々な経緯からアメリカ本土でチリ・シーバスという呼称でレストランの人気メニューになって、価格高騰、乱獲、絶滅の危機、というお定まりのコースを辿りつつあり、密漁取り締まりというこの物語に行き着くわけです。

追跡劇は密漁船の拿捕で終わり、アクション映画ならここでジ・エンドとなるのでしょうが、現実はその後に裁判という司法プロセスが待っており、本書でもその経緯まできっちり描かれています。

日本とは制度が異なる司法の場面。弁護士が検察官を法廷でいじめたり陪審員が泣き出したり。「私にはそう言わなかったが、(彼らが密漁を)やってないわけないじゃないか!」と口では語りつつ法廷では無罪を勝ち取る密猟者側の弁護士。

拿捕にあたってオーストラリア・南アフリカ・イギリスという英連邦同士が直ちに協力体制を取ったり、イギリス海軍出身で除隊後セーシェルさらにオーストラリアへと移住してきたという巡視船の船長や、この事件の後UAEへ移住した主人公のパトロール隊長などの人生のフットワークの軽さ。

人間の消費と水産資源という大きなテーマもさることながら、パラダイス鎖国中の日本から見ると、このような周辺の話にも興味深いものがありました。

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2008.07.08

達人たちの読書術

ビジネス週刊誌の面白そうな特集が続いているので、つい立て続けに読んでしましました。

東洋経済 6/21号 最強の「読書術」
東洋経済 6/28号 あなたの行きたいホテル&レストランの秘密
ダイヤモンド 6/28号 エアライン&エアポート世界大激戦
ダイヤモンド 7/5号 使える!経済学
ダイヤモンド 7/12号 激変!ポイントカード&電子マネー経済

080708中でも注目は「最強の読書術」をうたった東洋経済です。登場する顔ぶれがまた凄い。レバレッジの本田氏、売れっ子勝間氏、ラスプーチン佐藤氏、40歳からの勉強法の三輪氏、三色ボールペンの齋藤教授、そしてブロガー池田先生。

この人選だけで企画は成功、この号は相当売れたんじゃないでしょうか。

読書術といっても、本には純文学・学術書からノンフィクション・ビジネス系・娯楽系・コミックと様々なジャンルがあり、また読む目的も人それぞれなので、どれが正しい方法と言えるものでもありませんが、上記のような活発なアウトプットをしている方々がどのような本の読み方をしているかは、とても興味深いものがあります。

一番気になったのは何と言っても佐藤氏です。私と同じ年なのに既に巨人のような風格さえ漂うこの元外交官の頭は、いったいどうなっているのか。月平均読書量150~200冊というから圧倒されますが、うち熟読は5~6冊、それ以上になると熟読の質にも影響してくるとのことで、述べていることはきわめてまっとうです。佐藤氏の4ページを読むだけでも買って損はない一冊でした。

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2008.03.29

生命生保の罠

書店の新書コーナーで平積みが目に入ったので、つい手に取りました。

元日本生命営業マンによる「騙しのトリックが満載」という帯から、業界内幕暴露ものかなと思いつつ読んでみると、これが良書。著者の誠実な姿勢が感じられ、暴露もの特有の嫌な読後感もありません。具体的で読みやすく、生命保険に関心がある人にはオススメです。

080329
生命保険の罠

興味深いのはAmazonのカスタマーレビュー。ご存じの通りAmazonの読者レビューには、○人中○人が「このレビューが参考になった」と感じたかを投票できるシステムになっていますが、本書に対する好意的レビューに対して、「参考にならなかった」とする投票が不自然なほど目につきます。

その不自然さは、本書を快く思わない人たちによる過剰反応か、とも想像してしまいますが、もし仮にそうならば、本書の指摘が的確であることの証しともいえるでしょう。

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2008.03.22

本のまとめ買い

勉強系・自己啓発系のビジネス書は売れ筋なのか、どんどん新刊が出ますが、私のようについ買ってしまう読者が多いので、出版社からすれば美味しい市場なのかもしれません。

そんな中で最近読んだ本がこれです。

080322プロの学び力

普遍的な学習法について書かれたものではなく、前書きで著者も述べている通り、「いかに短時間のインプットで最良のアウトプットを目指すか」にポイントを絞って、著者なりの方法論が極めて具体的に説明されています。

何かの知識を身につけたいとただ漠然と思っている人には向かないかもしれませんが、新しい税制や会計基準、新しく関与した業界の知識などを短時間に要領よくインプットする必要がある仕事に携わっている自分などにとっては、とても参考になる良書でした。

また、最近のビジネス書は著者の顔写真を表紙や帯に刷り込んで派手に売り出す傾向がありますが、本書はいたって地味でシンプル。好感が持てます。

本書では、新しく学ぼうとするジャンルの書籍を20~30冊ピックアップして一気に全部購入することが提唱されています。、これなんか、たしか立花隆氏が新分野に挑むときのやり方と同じ方法ですね。

彼らほどではありませんが、私も本のまとめ買いはよくやります。それは単にJALのクレジットカードでマイルを貯めるためでして、立ち読みなどであたりをつけておいた本を、マイルが2倍たまるJALカード特約店で一気に購入するわけですが、そんな際に重宝していた丸善が、なんとこの3月31日で特約店契約を終了してしまうということで、ちょっと残念。

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2008.01.20

吉川英治の「三国志」

吉川英治の「三国志」といえば、日本における三国志のスタンダードとして有名です。私も学生の頃に熱中して読んだ記憶があります。

これはかなり以前の話なのですが、あるとき書店の文庫コーナーの吉川英治文庫の前で、大学生とおぼしきカップルが、三国志を手にとって話している会話が聞こえてきました。彼氏の方がしきりに三国志を彼女に勧めているようで、「とにかく面白いんだから・・・ほら、このカバーの裏のあらすじを読んでみてよ。これがまたイイんだよね。『曹操が起つ、袁紹が起つ、天下騒然』てね。」

確かに講談社から文庫で出ている「三国志」の裏表紙の内容紹介は、文体が名調子で惹かれるものがありましたので、その若者が熱く語る気持ちは理解できました。

そんな昔のことをふと思い出して、ある時書店で文庫の「三国志」を手にとって裏を見ると、何となくフレーズに違和感が・・・

気になったので、家に帰って自分の持っている文庫を見返すと、確かに文章が微妙に異なっています。例えば、先の若者が彼女に語っていた「曹操が起つ、袁紹が起つ」というフレーズがある第二巻は、次のとおり。

(旧版)
黄巾賊の乱はほどなく鎮圧されても、腐敗の土壌にはあだ花しか咲かない。
霊帝の没後、西涼の惑星董卓は、十常侍に代って権力の中枢に就いた。しかし、一旦ゆるんだ地盤は、政権の壟断をゆるさない。
曹操が起つ、袁紹が起つ。天下騒然。
董卓の身辺には、呂布という天下無双の豪傑が警固し、刺客さえ容易に近づく隙をあたえぬ。その呂布が恋をした貂蝉という佳人--董卓の寵姫である。
傾国という言葉は『三国志』にこそふさわしい。

(現行版)
黄巾賊の乱は程なく鎮圧されたが、腐敗の土壌にはあだ花しか咲かない。
霊帝の没後、十常侍に代って、董卓が権力の中枢に就いた。しかし、群雄こぞっての猛反撃に、天下は騒然。曹操が起ち袁紹が起つ。
董卓の身辺には、古今無双の豪傑呂布が常に在り、刺客さえ容易に近づけない。その呂布が恋したのが、董卓の寵姫貂蝉。
傾国という言葉は『三国志』にこそふさわしい。


他のすべての巻も、微妙に細部が変わっています。出版社内でどのような経緯があったのかは不明ですが、面白い発見でした。(ちなみに私は格調を感じる旧版の文章の方が好きです)

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2008.01.14

夏の椿

正月休みのように纏まった時間が取れるときこそ、積ん読状態だった本をまとめ読みする貴重な機会です。今回も何冊か読むことが出来たのですが、その中で、これは良かったという作品がありましたので、ご紹介。

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「夏の椿」北重人 文藝春秋

時代小説の秀作です。

以前どこかの書評で薦められていたのを見て、これは読もう、という直感が働きすぐ買ったものの、ずっと手つかずになっていたのですが、正月はやはり時代小説でしょう、ということで布団に潜って読み始めたのでした。

江戸時代は天明のころ、元鳥越の彦十店という長屋に住む立原周乃介という侍を主人公とする、巻き込まれ型私立探偵系人情派ハードボイルド時代ミステリとでもいうのでしょうか。とにかく、読み終わって、「ああ、いい小説を読んだなあ」という充実感が湧き上がる秀作です。主人公が殺された甥の死の謎を追うストーリーも良くできていて、つい頁をめくる指も早くなりがちですが、そこをぐっと押さえて、じっくりと叙情に満ちた小説世界を味わうという読み方がオススメです。こういう小説が読めるところが、日本人で良かったなあと実感する瞬間ですね。

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2007.12.01

ドラキュラ

「ドラキュラの『子孫』が死去」というニュースが先日ありました。

<アイルランドの作家ブラム・ストーカーが描いた吸血鬼ドラキュラのモデルとされるブラド公の「子孫」、オトマル・ロドルフェ・ブラド・ドラキュラ・プリンツ・クレツレスコ氏が17日、ドイツ東部の町で死去した。67歳だった。(11月22日 朝日)>

子孫といっても実際に吸血鬼の家系だったわけではなく、ストーカーが「ドラキュラ」創作時に、東ヨーロッパに実在した豪族の史料を参考にした、という関係にすぎないのですが、この怪奇小説の古典はオススメで、去年久しぶりに再読しました。

この名作、70年代に平井呈一氏による全訳版が創元推理文庫から出ており、私も高校3年の夏休みに夢中になって読んだ記憶があります。はじめはそのボリュームに読み切れるか不安でしたが、読み出すと止まりませんでした。
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今回再読に及んだのは、注釈付の新訳・完訳版があることを知ったためです。海外怪奇小説の翻訳家として名高い平井呈一氏の訳は雰囲気満点でしたが、今読み返すと文体も古く、文庫版ゆえ文字も小さくて読みにくい。完訳版はハードカバーで地図や19世紀の文化に関する詳しい注釈入り、読みやすさではこちらが優っています。(ちょっと値が張るのが難点か)

個人的には東ヨーロッパを舞台にした冒頭の4章が気に入っています。特にトランシルヴァニア山中のボルゴ峠で主人公が伯爵の迎えの馬車に乗り換えるシーン。ここまで送ってきた乗合馬車の乗客達が不吉な詩の一節を囁くところなどゾクゾクします。

(旧訳)「死びとは旅が早いもの」
(新訳)「なんとなれば、死者は速やかに旅をする」
(原文)"For the dead travel fast."

このあたりは平井訳が雰囲気を出しているところでしょう。映画では米ユニバーサル社1931年製作の「魔人ドラキュラ」(監督トッド・ブラウニング 主演ベラ・ルゴシ)の冒頭部分も雰囲気満点です。

ストーリーはよく知られた通りで、ホラーとしてはそれほど恐いものではありませんが、久々に物語を読む醍醐味を味わうことが出来ました。現代のサスペンス物のように一気呵成に読むのではなく、冬の夜長、葡萄酒(ワインではなく)を片手に19世紀の怪異譚をゆっくりと味わう、という読み方がオススメです。

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2007.09.21

ヴァンパイヤー戦争

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夏の休暇の前、さて何を読もうかと書店でいろいろ物色中に、文庫の棚でタイトルが目にとまり、手に取った一冊がこれ、講談社文庫の笠井潔「ヴァンパイヤー戦争」です。

80年代の伝奇アクション全盛時の作品で、その当時に読む機会はなかったのですが、カドカワノベルス版の生頼範義氏による表紙イラストが印象に残っていて、タイトルはよく知っていました。

当時読み損なっていたという思いもあり、ではこれを、と手にとってびっくり。表紙のイラストがイメージとかけ離れているではありませんか。迷ったものの、小難しい専門書の合間に軽い小説も読もうと考えていたので、とりあえず第1巻をレジへ。

さて、いざ読み出して困ってしまいました。なかなか先を読む気がわいてこないのです。ジャンルでいえばSF伝奇アクション、大藪春彦と平井和正と半村良を足して三で割ったような娯楽作品で、2時間もあれば読める分量なのですが、なぜか物語世界に入っていけません。

しかし、せっかく読み始めたのだから、と何とか放り出さずにようやく最近第1巻を読み終えて、これはもしかして自分の感受性が低下してしまったのかと心配になり、ちょっと理由を考えてみました。そしてわかったことは・・・

1.キャラクターに魅力がない。ストーリーは壮大でアイデアには読者を引っ張る力はあります。ただ、小説としては、単にあらすじに沿って人物が動いているだけにしか感じられず、読み続けるのが辛い。

2.ミスマッチの表紙からくる違和感。どうしても生頼範義氏のイメージがあるので、私の世代の読者にとっては、このライトノベル風の表紙(人物紹介の口絵イラストまである!)は勘弁して欲しいところ。

3.同ジャンルでの名作を既に読んでしまっていた。70年代に、SFハードボイルドの先駆けとしての平井和正の諸作に熱中した世代からすれば、特に(他の新書や文庫版ではなく「祥伝社ノンノベル版」の)ウルフガイと呼ばれる平井和正の作品群があまりに強烈だったので、その後、似たような小説では何を読んでもその時の興奮を超えることができない。

笠井潔の探偵小説の評論は結構読んでいたのですが、小説は初めてで、今回は私にとってはハズレを引いてしまったようです。

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2007.09.01

終戦のローレライ

またも終戦の日がらみ、というわけではないのですが、夏に読むなら海洋ものでしょう、ということで、以前からタイトルに惹かれて気になっていた「終戦のローレライ」(福井晴敏・講談社文庫で全4巻)を読了。久々に重厚で骨のある娯楽小説を堪能しました。

ジャンルとしては、太平洋戦争を題材にした海洋冒険小説・架空戦記・歴史SFあたりになるのでしょうが、そんな区分はどうでもいいところ。昭和20年夏の終戦までの約一ヶ月を、圧倒的な文字の量とパワーで一気に読ませます。特に中盤以降の加速度感がすごい。形としての主人公は、潜水艦に搭載された特殊兵器「ローレライシステム」に関わる少年少女の二人なのですが、他の多くの登場人物の一人一人が強烈な印象を残します。オススメ。

p.s.
「Google Earth」でマリアナ諸島・ウェーク島などを確認しながら読むと、さらに臨場感が増します。

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「終戦のローレライ」福井晴敏

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2007.08.20

数字が勝手に歩き出す

戦争にまつわる本をもう1冊。

石破元防衛庁長官オススメの、猪瀬直樹氏「空気と戦争」です。東工大の学生に向けて行った講義録をベースにしているというだけあって、きわめて読みやすくまとまっています。

本書に出てくる、開戦前の昭和16年春に、総理直轄の「総力戦研究所」という組織が対米戦争のシミュレーションを行い、わが国の「必敗」を結論づけていた、という話は興味深いものがあります。

また、勝敗を決定づける石油需給バランスの試算において、数字が一人歩きしていったという話。つい、税務の話に結びつけて考えてしまうのですが、錯乱の税制と指摘した「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入(同族会社のオーナー課税)」において、財務省の試算と税理士会の試算がかけ離れていた件を思い出させます。

(注)同族会社のオーナー課税とは
法人税の計算において、同族会社がオーナー社長に支払う給与(役員報酬)うちの一定額を損金と認めない、という法理論的にも経済的合理性にも矛盾する制度。わが国経済を支える中小企業に不合理な税負担を強いるこの制度の導入にあたって、財務省は「全法人255万社のうち、影響を受けるのは約2%の5万社にすぎない」と説明していたが、税理士会の調査では、その10倍の50万社は影響を受けると指摘されている。

この制度は、法案制定時の対象法人の税務申告が現在進行中のため、まだ影響の正確な実態は判明していませんが、影響の全貌が明らかになったとき、財務省はどのような釈明をするのでしょうか。

さて、話を本書に戻しましょう。
<政治家の「腕力」と官僚の作った「統計」で決まってきたものが、正しい「事実」と「数字」で覆すことができる>という指摘に説得力があるだけに、「空気」という目に見えない曖昧で情緒的なイメージの言葉は、タイトルに入れない方がよかったのではないか、と私は思いましたが、内容は読みやすいのでオススメ。

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「空気と戦争」文春新書

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2007.08.15

終戦の日に

終戦の日が近づくと、書店では近代史や戦争もののコーナーが設けられ、テレビは戦争関連の特集番組ばかり、と思って今日の番組表を見たら、終戦の日がらみではNHKがちょこっと番組をやるだけで、民放はふだんどおりのバラエティやドラマのオンパレード。そんな戦争の記憶が薄れつつある今日この時代を、当時の若者がもし見たら、いったい何を思うか・・・

そんな感慨に耽ってしまう1冊が、三島由紀夫の「英霊の聲」です。神道の儀式により降りてきた二・二六事件の青年将校と神風特攻隊員の霊がその想いを語るという短編ですが、異様な迫力がある作品です。

その迫力をもたらす要因かどうかわかりませんか、この短編にまつわる裏話を、三島由紀夫と親交があった美輪明宏氏が、瀬戸内寂聴さんと対談した「ぴんぽんぱん ふたり話」の中で語っています。

それによりますと、美輪氏曰く、この作品は、二・二六事件の反乱軍の将校のうちある特定の一人の霊が実際に三島に取り憑いて書かせたもので、三島自身が「自分の表現でも言葉でも書体でもないから書き直そうとしても、絶対書き直せないある力が働いた」と語ったとのこと。興味ある人は、同書をご参照ください。

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「英霊の聲」河出文庫

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「ぴんぽんぱん ふたり話」

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2007.08.14

国家情報戦略

久々に、最近読んだ本を何点かご紹介。

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国家情報戦略 講談社α新書

外務省のラスプーチンこと佐藤優氏が、韓国軍情報部内でスパイ疑惑をかけられ逮捕投獄された経歴を持つコウ・ヨンチョル氏と対談した、日韓の専門家によるインテリジェンス本。手嶋龍一氏との対談本の第二弾的な色合いのものですね。

対談本なので読みやすく、内容もきわめて興味深いのですが、佐藤氏がちょっとしゃべりすぎという感あり。もう少し両者の発言のバランスがとれていればなお良かったのですが。

ところで佐藤氏、外務省休職後は盛んに著述活動を行いその才能を遺憾なく発揮されているようですが、鈴木宗男事件というのは、彼を世に出すために誰かが仕組んだ謀略だったのではないか、国策捜査だと息巻いていた検事達も、目に見えぬ糸に操られていたに過ぎなかったのではないか、という見方は穿ちすぎでしょうか。

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2007.06.26

年収10倍アップ勉強法

勉強法の本は相変わらずブームのようですが、最近のオススメはこれでしょう。

著者は公認会計士で経済評論家。以前からよく言われる「英語」「会計」「IT」という三つのツールの必要性が、具体的にわかりやすく説かれています。

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無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法

本書では、ノートPCやオーディオブックなど、各種ツールについても具体的に紹介されています。ノートPCについては、
「一度、機会があったら、周りでパソコンに詳しい人や、仕事を効率よくこなす人のパソコンの機種を見てみてください。気持ち悪いぐらいみんな、『レッツノート』を使っていることと思います。」

最近、ある会社でのミーティングの席でのこと。そこの社長と弁護士さんと私と、三者が同時にテーブルに出したノートPCが、パナソニックの「レッツノート」でした。私以外のお二人は「仕事を効率よくこなす人」でしたから、この指摘は当たっているようです。

ところで、社会保険庁の消えた年金記録問題。現場職員との間で「窓口装置の1人1日のキータッチは5000タッチ以内とする。」などという取り決めがあったそうでが、本書では、勉強ひいては年収アップのスキルとして、キーボード入力の早さをいかにアップさせるかという方法について言及されています。

社会保険事務所の窓口装置とPCのキーボードが同じかどうかはわかりませんが、ものごとに向き合う姿勢、向上心の違いを鮮明に感じてしまいました。

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2007.06.04

京急おもしろ運転

たまには、こんなDVDでも。

ということでオススメするもう一冊が

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京急おもしろ運転徹底探見

豊富な写真と文、さらに65分のDVDで、アクロバチックな京急の列車運行がたっぷりと紹介されています。

例えば、12両編成の上り快特は、京急川崎で分割された後部4両の羽田空港行き編成が、分割後にいったんドアを閉めて前進し停車位置を直します。てっきり乗客サービスのためだと思っていたのですが、実際は、信号機の位置との兼ね合いからくる運行上の必然性のためだったのですね。などといった役立つ知識が満載。

京急といえば、「ドアを閉めます!」という主体性を持った車掌のアナウンス(最近は他の路線でも聞かれますが)や、待避駅での待ち時間を感じさせないきびきびしたダイヤ、素早い列車の併合・切り放し、快速特急の略称である「快特」をしゃあしゃあと正式な列車種別としてしまうセンスなど、同じ東京南部を走る私鉄である東急なんかと比べても、個性が際立つ路線です。

まだ乗ったことのない人も、ぜひご覧下さい。

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2007.05.11

ピタゴラ装置

たまには、こんなDVDでも。

ということでオススメするのが、NHK「ピタゴラスイッチ」でお馴染みの、あの痛快オモシロ装置のDVD版です。
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ピタゴラ装置DVDブック1

書籍の付録にDVDが付いているのですが、この映像、大人が観ても十分楽しめます。DVDの収録時間自体は短いですが(何せ各装置の作動時間がわずかですから)、その意表を突くメカニズムと各アイテムの動きに、「おーっ!」と叫んでしまうこと請け合いです。(何を言ってるのかわからない人は、youtubeでもさがして、まず観てみましょう)

「ピタゴラ装置DVDブック2」も最近出たようなので、きっとそちらもオススメです。

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2007.04.26

月刊ASCii

パソコンやらIT関係の最新情報がネットで簡単に手に入るようになった今、パソコン雑誌の売れ行きも伸び悩んでいるという話をききます。

私も、以前は結構買っていましたが、今、毎号買っているのは、一太郎Ver.3の時代から定期購読している日経パソコンと、アスキー・ドットPC、それにMac系の二誌となりました。ドットPCは、「あべかよこのデジタルスポット探検隊」を読みたいのでつい買ってしまうのですが、Mac系の月刊誌は、新製品や新OSが出ないことにはネタ切れ気味ですし、日経パソコンは現在の購読期間が終わればもう更新はしないつもり。このジャンルの老舗である月刊アスキーが昨年休刊したのも無理からぬことでしょう。

ところで、その「アスキー」がリニューアルしてビジネス誌として新装なった「ASCii」誌ですが、ITに軸足を置いたビジネス情報誌としてこれが意外におもしろく、つい毎号手にとってしまいます。ビジネス書のブックレビュー(というより要約紹介)が充実しているのも嬉しいところ。たぶん従来のアスキー愛読者からは総スカンだと思いますが、息切れせず新路線を頑張ってほしいものです。
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2007.03.30

会計力トレーニング

丸善へ寄ったとき、新刊平積みコーナーで見かけた本。

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「右脳でわかる!会計力トレーニング」

数字を使わずグラフだけで有名企業の財務諸表をクイズ形式で紹介。ポケットサイズなので、電車の中などで読むには最適。オススメです。

ただし致命的な欠点があって、二択または三択のクイズ形式なのですが、1ページの表裏で各1問づつとなっており、表側の問題文のページから裏ページの正解が透けて見えてしまうのです。

これは出版社(日本経済新聞出版社)のミスでしょう。おもしろい企画なのに残念。

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2007.01.20

インテリジェンス

この正月休みに読んだ本。
いつも休み前は、あれも読もうこれも読もうと意気込むのですが、結局今回は、雑誌のほかは、この1冊のみでした。

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インテリジェンス 武器なき戦争

創刊されたばかりの幻冬舎新書の1冊で、手嶋龍一(外交ジャーナリスト)、佐藤優(鈴木宗男事件で外務省のラスプーチンと呼ばれた外交官)の両氏による対談本です。両者が外交をめぐる「情報(インテリジェンス)」について語り合います。オススメ。

本書の内容は様々なところで紹介されていますのでここでは触れませんが、興味深かった部分を二つほど。

一つは、イスラエルにあるという、中世の魔女裁判で魔女の弁護を担当する人からヒントを得て作られた悪魔の弁護人制度。どの課題に対しても「これではダメ」と難癖をつけるというもので、この、あえて反対意見を言うという議論の方法は、大前研一氏も以前から「悪魔の使途 devil's advocate」として、しきりに提唱していました。

もう一つが、ミッドタームキャリア。本書では日本のジャーナリストを例に採り、「彼らはリタイアが早くて、すぐデスクになって現場を離れてしまう。結局そのくらいで燃え尽きてしまう。焼き畑農業と同じで、それまでの蓄積を使い果したらおしまい。やはり、いわゆるミッドタームキャリア(中間研修)という、新たな蓄積をする機会が必要だ。これがその後の仕事に非常にプラスになる」という趣旨のことが述べられていますが、我々専門職には胸に響きます。

かつて、ある著名な税理士に「日々のニュースや統計の裏にある事象を分析し、それを政府がどう税制に取り込んでいくかを先回りして予測できるようにならなければプロとはいえない。税制改正のニュースを追いかけているレベルでは、まだアマチュアだよ」と言われたことがありますが、これなど税制の世界におけるインテリジェンスと言えるのかもしれません。

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2007.01.13

2006年のベストセラー

Amazonの2006年ランキングを見ていたら、ビジネス書部門の堂々第1位に、このブログでも紹介した「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?」が挙げられています。きっと版元はホクホクでありましょう。

日経ビジネス1/8号でも、2006年のベストセラーとしてこの本が紹介されていました。曰く
「会社や個人の借金、給与、税金などの裏にある本当の意味を会計理論に基づきひもとく。著者は銀行相手の資金繰りを得意とする税理士だ。(中略)面白おかしく会計のカラクリを解き明かしていく。」

会計のカラクリをきちんと解き明かしているかはともかく、著者は税理士ではなく、文中で著者自身も述べている通り「金融機関と税理士事務所に勤務経験のある資金繰りコンサルタント」でしょう。この記事を書いた日経ビジネスの記者は、ちゃんと本書を読んでいるわけではなく、聞きかじりで書いているようです。

30分もあれば読める本なのですから、紹介するなら読んでからにしろよと言いたい。日経ビジネスといえども、ブックレビューは、署名入りの書評でなければ当てにならないのでしょうか?

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2006.10.26

数字に強いとは?

最近の会計本からもう1冊。
著者は過去に「実学入門 経営がみえる会計」などの好著を連発している公認会計士。帯の文句は「本当に数字に強いとはこういうことだ! 一目でわかる直感力の鍛え方」

最近の出版ですが、タイトルは奇を衒わずにオーソドックス、文体が軽い口語調なのは、やはり最近の風潮に合わせたのでしょうか。ただし口語調といっても、黄色い表紙のベストセラー本のような下品さはなく読みやすいので、ご安心を。

決算書を作るのはプロや経理マンに任せ、ビジネスマンはまず決算書を「読んで」「活かす」能力を身につけよう、というスタンスの会計の入門書。シンプルな図解を使いながら、財務(ファイナンス)と会計(アカウンティング)と財務会計(アカウンティングの一分野)の違いなど、日常何げなく使っている言葉の意味にまで立ち返って、会計の全体像をわかりやすく解説してくれます。

会計を勉強する前に全体像を把握したい人にもオススメの良書。

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数字は見るな! 簿記があなたの会計力をダメにする

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2006.10.20

餃子屋と高級フレンチ

書店で新しい会計本を見かけたので、つい手に取ってしまいました。

タイトルからすれば、これも「さおだけ屋系」の一つと言えるでしょう。内容は良心的。帯には「ビジネスパーソンのための管理会計入門」とあります。

業績が悪化したアパレル会社を亡き父から引き継いだ女の子が、ワイン好きなコンサルタントとさまざまな店で会食しながら、キャッシュフロー、限界利益、原価管理など経営者としての意思決定に必要な会計知識を身につけ社長として会社を建て直すという、ストーリー仕立ての構成で、章ごとに飲食ネタから管理会計へ強引に話題を展開していく繰り返しですが、経営のための会計という視点が貫かれていて、一気に読めます。

「4ドアベンツ」のような駄本を読んで腹を立てた人にはオススメです。ただし財務会計の解説本ではなく、また節税などの話も出てこないので、その点は注意。

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餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?

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2006.09.22

浜崎橋はなぜ

ジャンルは違いますが、「なぜ・・・なのか?」系のタイトルからして、ひょっとしたらこれも、売れ筋あやかり本の一つ?

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「浜崎橋はなぜ渋滞するのか?」

しかし「4ドアベンツの本」と違って、内容は実用的。首都高浜崎橋ジャンクションの図解を元に渋滞の理由もきちんと解説してくれています。書籍としての情報量は少ないですが、600円ですから許容範囲でしょう。

p.s.
建設中の中央環状新宿線について、
構造上の理由から板橋-熊野町間は
「確実に渋滞する予定」
だそうです。
「1兆円の巨費を投じて建設される中央環状新宿線ですが、残念です。」
同感。

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2006.09.16

ベンツは4ドアでなければ神話

居酒屋で焼魚定食を食べながら置いてあった日経MJを読んでいたら、ベストセラー本として「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?」が取り上げられていました。相当売れているようです。

タイトルからして、ベストセラー「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」のあやかり本に違いないと思いつつ、実は私もそのタイトルに釣られて出版直後の6月に読んでいましたので、ちょっと感想を。

Amazonの評価をみても賛否両論あるようですが、ひと言で言って、極めて読みにくい本です。取り上げているネタはそれなりに面白いのですが、まとめれば20~30ページに収まるであろう内容を、冗長な口語体で200ページ近くに水増しし、結果として言いたいことが伝わりにくくなっています。

かんじんの「なぜ社長のベンツは4ドアなのか」という問いにも明確な回答を出していません。膝を打つような意外な真実でも提示されるのかと期待して読み進んだのですが、完全な肩すかし。これほどタイトルと内容とが乖離している本もめずらしいのではないでしょうか。

たぶん、2ドアやRVはレジャー要素が強く税務署に目をつけられやすいからお仕事用として経費にしたければ4ドアセダンにしなさい、と言いたいのだと思いますが、それはあくまでも「お話」の世界。現実にはドアの枚数だけで判断されるわけではないのは実務に携わっている方ならご存じの通りです。「ベンツは4ドアでなければ神話」が広まることについて、税務署の調査官などは「これで調査がやりやすくなる、2ドアの社用車を否認しやすくなるぞ」と歓迎しているかもしれませんね。

<参考:「どんなに高額な輸入車でも100%業務に必要で100%業務使用なら経費になる。反対にボロボロの中古車でも利用実態が社長の私用のみならダメ」という趣旨の国税局の見解が某専門紙に載っていました>

なお、サブタイルに裏会計学とありますが、内容は会計学とはほとんど関係ありません。節税とか資金繰りの中小企業向けtipsをわかりにくく口述しただけです。(このサブタイトルもベストセラー「裏帳簿のススメ」のもじりか?) 内容的には、比べたら失礼なほど、本家である「さおだけ屋~」の方が圧倒的に質が高い。真面目に会計の勉強をしようとしている人は、帯のコピーに釣られないように。読むべき本は他にいっぱいあるはず。

結論。
二匹目のドジョウとしては大成功。やはりタイトルが秀逸。しかしこの内容、読みにくさは編集者・出版社側にも責任があるのでは? そもそもビジネス書の棚に並ぶのは間違い。エッセイとかノンフィクションの棚に置くべきでしょう。書店で買うなら「さおだけ屋~」。「4ドアベンツ」はブックオフに大量に並ぶはずなので、どうしても読みたいのなら立ち読みあるいは読み終わった人から借りて、もしくはブックオフで半額にて。(注:「4ドアベンツ」初版本には減価償却の月割計算について誤った記述があるので読むなら二刷以降です)

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2006.09.01

ダ・ヴィンチ・コードもいいが

暑かった8月もやっと終わりました。暑い夏は涼しい部屋でゆっくりと読書でも、と思っていたのですが、とてもそんな余裕はなく、電車の中などで雑多な本を読み飛ばしただけの夏でした。

ところで小説の類で近ごろ読んだのは、話題のベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」のみ。映画化されたのでそっちも観ようと思ってたのですが、いつの間にか上映も終わってしまいましたね。

この「ダ・ヴィンチ・コード」(小説の方です)、書店ではまだ売れ続けているようですが、評判に煽られて読んでみた感想はというと・・・
一度読み出したらノンストップで読み切らせる出来のいいサスペンススリラーであることは確かですが、それ以上でもそれ以下でもなし。

タイトルにあるようなダ・ヴィンチの暗号を解き明かすわけでもなく、作中人物が作った暗号を作中人物が解くだけで、ミステリノベルとしての謎も、西洋史における謎も、読者をうならせるにはいま一歩と感じました。期待が大きかっただけに、ちょっと残念。(とはいえ面白いことに間違いないので、暇がある人はぜひ)

キリスト教という大きな歴史上のテーマを扱っているのですから、「石の血脈」「産霊山秘録」の半村良のようなテイストで書かれたら、もっと壮大なスケールの傑作が生まれたような気がします。

ということで、残暑の夜には下記二作品をオススメ。
(しかし、小松左京と同じく、半村良の作品群も、角川文庫のシリーズで一時期はどこの書店でも簡単に手に入ったものですが、いつの間にか姿を消してしまいましたねえ)

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2006.08.21

夏に差をつける300冊

夏になると各雑誌が読書特集のような記事を組みます。

週刊東洋経済も例外ではなく、「この経済本がすごい! 夏に差をつける300冊 」として、各界のビジネスリーダーの方々が自分のお薦め本を紹介しています。(8/12・19合併号)

060821その中で異彩を放っているのが、鈴木宗男事件で知られるラスプーチンこと休職中外務官僚の佐藤優氏の獄中読書記です。東京拘置所での独房生活約500日間で哲学・神学・歴史書を中心に220冊を読了とありますが、紹介されている愛読30冊リストがすごい。書店でも人もまばらなコーナーにあるような書籍がズラリ。私には一生縁がなさそうな本ばかりです。

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2006.08.14

Life Hacks PRESS

060814仕事を効率よくこなすには・・・などという題材の書籍や記事には、つい手が伸びてしまうのですが、これもその一つ。(Life Hacks PRESS デジタル世代の「カイゼン」術)

いわゆるライフハック系のムック本です。GTD(Getting Things Done)の紹介に始まり、Googleサービスの活用法、プレゼンの技法、マインドマップ、文房具の紹介と、内容は盛りだくさんで、かつコンパクト。個人的には、WEBにおける自分のための情報整理という項目が参考になりました。

副題に仕事「術」とありますが、手帳術と称して手帳の活用法などを説く本に多い押しつけがましさが感じられないところに、好感が持てます。

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2006.08.08

Googleのすべて

ちょっと更新をサボっているうちに、長かった梅雨も明け、ようやく夏らしい天気になってきました。そして、路線価が公表されたというニュースを聞くと、今年ももう後半だなあという気分になるのは、職業柄でしょうか。

さて、「ウェブ進化論」以降、Web2.0がらみの書籍が数多く出ているようですが、これもその1冊。

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Googleの全46サービスを紹介・解説した本ですが、変化の激しい時代には、単行本と雑誌の中間のようなこうしたムック本の方が、情報としては役に立つかもしれません。ネットを検索すればもっと詳細な情報が簡単に入手できる時代ですが、寝転がって気軽に読むには、やはり紙の本ですね。

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2006.07.13

クロスオーバー・イレブン

前回に続いてラジオの思い出です。

深夜のイージーリスニングの定番と言えば、城達也氏ナレーションの「ジェット・ストリーム」ですが、NHK-FMにも「クロスオーバー・イレブン」という人気番組がありました。

番組は終わってしまいましたが、オムニバスCDで、津嘉山正種氏のナレーションとともに当時の雰囲気に浸ることができます

『・・・昔はずいぶん音楽を聴いたものだった。だが、二十年ばかり仕事にかまけているうちに、仕事に必要のない知識は、脳の中のどこかにすっかり片づけられてしまったらしい・・・』

うーん、ちょっと反省。

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2006.07.06

「日本沈没」のころ

小松左京の大ベストセラー「日本沈没」が再映画化されました。

空前のブームになったのは私が中学1年のころ、今から30年以上も昔のことです。光文社カッパノベルズという大人向けの新書を読んだのも、この作品が最初でした。

日本列島が沈むという荒唐無稽(?)なアイデアを、強引に読む者を納得させる娯楽小説にしてしまう小松左京の作家としての力量には凄いものがあります。しかし小松左京の作品は、生頼範義氏がカバーを描いた角川文庫のシリーズが一時期はどこの書店でも手に入ったものですが、いつの間にか姿を消してしまいましたねえ。

「日本沈没」は、同じころニッポン放送でラジオドラマ化もされ、これも毎夜聴いていましたが(主演はたしか江守徹氏)、結構忠実に原作をなぞっていた記憶があります。「あれはっ、かいていらんでいりゅうだっ!」なんていうセリフにワクワクして、将来は地球物理学者になろう、なんて夢見た少年達も多かったことと思います。

ところでこの時間帯のニッポン放送は、夜9時からの「日本沈没」、そのあと「愛川欽也の立川文庫」、テレビになる前の「欽ドン」、そしてもう一つの傑作ラジオドラマ「怪人二十面相」と、なかなか充実したラインナップでした。

p.s.
「日本沈没」といえば、やはり表紙はこれ(カッパ版)でしょう!
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2006.06.14

食品は工業製品?

食品会社の元セールスマンが明かす食品製造の舞台裏です。「製造」というだけあって、食品というのは「工業製品」なのですね。

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食品の裏側

化学調味料など食品添加物の実態について、単に危険を煽るだけではなく、業界にいた人間の目で冷静に描かれています。実は消費者こそが食品添加物を支持しているのではないか、という指摘には、考えさせられてしまいます。

この本を読んでから、カップ麺やレトルト食品は一切食べる気はしなくなりましたが、かといって家の外で仕事をしている以上、現実としてスーパーやコンビニの食品の世話にならないわけにはいかず、悩ましいところです。

実はこの本、半年ほど前にある雑誌の書評で読んで気になっていた本でありまして、すぐに探し回ったのですがどこの書店にもなく、やっとある大型店の「保健・衛生」コーナーにひっそりと1冊だけ置かれていたのを見つけたのは今年の初めのことでした。

先日、日経ビジネスの最新号をパラパラ眺めていたら、丸善丸の内本店のベストセラーリストの第1位に、この本が入っていました。だぶん口コミなどの評判でジワジワと売れてきたのではないかと想像しますが、やはり大勢の方が、食品について不安や疑問を抱いているのではないかと思われます。

とにかくこの本、今夜もコンビニ弁当だったあなたにオススメします。

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2006.05.28

ロウアーミドルの衝撃

所得税の「青色事業専従者給与に関する届出書」を書いていて、「昇給の基準」という欄で、うーんと考え込んでしまいました。

ちょうど大前研一氏の新刊政策本「ロウアーミドルの衝撃」を読んでいて、1997年をピークに平均労働賃金が減少に転じはじめたグラフを見ていたところだったのです。

国税庁の提供する記載例には、昇給の基準について
「毎年おおむね○%(又は××円)などと書いてください」
とありますが、これは毎年必ず一定の基準で昇給がある右肩上がり経済を前提にしているわけですね。

大企業では、定期昇給を廃止する例も出てきているようです。「青色事業専従者給与に関する届出書」は個人事業者が使うものですから、一般的には、中小企業よりもさらに零細な事業者が対象になります。(もちろん医師や弁護士、不動産貸付業の方々が利用する事例もあるでしょうが) 支給する対象は家族従業員ではありますが、「昇給」の欄で頭を悩ませてしまう個人事業主の方もいることでしょう。

この届出書から「昇給の基準」欄が無くなるような時代が来てしまうのでしょうか。

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2006.05.11

スティーブ・ジョブズ-偶像復活

060511アップルの周囲が賑やかです。もちろん米Apple社のことですが、先月で創業30周年。CPUをPowerPCからインテルに乗り換えた新製品も登場しましたが、何といっても注目は、MacでWindowsXPが動く「Boot Camp」というソフトの登場でしょうか。

そんな時期だからというわけではないのですが、たまたま手にした「スティーブ・ジョブズ-偶像復活」(東洋経済新報社)

Apple社の創業者の一人であるスティーブ・ジョブズの非公認伝記です。自らが起こしたApple社を追放され、NeXTコンピュータ社を起こすもうまくいかず、そんな時Pixar社のオーナーとなりCGアニメビジネスで成功、再びApple社にCEOとして返り咲き、iPodとiTunesで音楽業界に新風を巻き起こしていく、よく知られたジョブズの半生と人となりが、関係者の証言でつづられています。

分厚い本ですが、中盤、Pixar社のCEOとしてディズニーと渡り合っていくあたりからがぜん面白くなります。本にはありませんが、最終的にはディズニーはPixar社の買収を発表、買収完了後にはジョブズはディズニーの個人筆頭株主となるようですね。

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2006.05.01

Palm Magazine 永久保存版

ソニーがPDA事業から撤退を発表してからはや1年ですが、書店で懐かしい雑誌を発見しました。アスキームックの「Palm Magazine」です。Palm端末の衰退と共に休刊していたと思っていたのですが、しぶとく頑張っていたようです。

と思ってみたら、実は永久保存版という特別号だったのですね。ということはこれを最後に廃刊ということ?

個人的要望ですが、ケータイとPalm端末が合体したスマートフォンがあれば、さぞかし使い勝手がいいと思うのですが・・・。私のようにケータイのテンキー入力ができない人間は、スタイラスを使ったGraffiti(グラフィティ)入力ができる端末が登場すれば、飛びついてしまう可能性ありです。

ともあれ、今までの「Palm Magazine」24冊すべてがPDFで収録されています。Palmを愛用したことのある方は、記念にいかがでしょうか。

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2006.03.26

池上線の研究

060326雑誌「散歩の達人」の先月号は池上線特集。池上線沿線で生まれ育った者として、つい手にとってしまいました。

昭和3年頃の池上線五反田駅の写真が掲載されていますが、高架線の不安定な雰囲気は今も変わっていませんね。この五反田駅について、学生の頃に他県出身の友人から「ああ、あのジェットコースターみたいな駅ね!」と言われたことがありますが、初めて見る人にはインパクトがあるようです。

また親戚があった関係で子供の頃から久が原駅もよく利用したのですが、駅裏に久が原マーケットという闇市のような一角がある一方、住宅地に行くと、まだところどころ畑が残り、夜になると人通りも絶え、風に乗って聞こえてくる池上線の踏切の警報機のカチンカチンという音がやけに寂しく感じたものでした。

駅前には果物屋さんがあり、西島三重子の「池上線」のモデルはここに違いないと思っていたのですが、誌上で作詞の佐藤順英氏が「あの歌詞は自分の体験を元にしており『角のフルーツショップ』は池上駅前」と真相を暴露(?)してくれています。

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2006.03.21

強い会社の経理・財務

前回の補足です。絶版と書いた金児昭氏の「上級経理入門」ですが、手許にあった「強い会社の経理・財務」(日本経済新聞社)を読み返していたら、「本書は『上級経理入門』を発展させ改題したもの」との記述がありました。読み比べてみると、なるほどその通り。この本もオススメですね。

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強い会社の経理・財務

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2006.03.17

会社経理入門

先日に引き続き書類整理の中で出てきた本。会計本を連発している金児昭氏の初期の著作であろう「会社経理入門(89年)」「上級経理入門(91年)」(ともに日本経済新聞社)。

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私が学生の頃、会計学関係の本は今ほど多くはなく、思い返せば自分がはじめて会計学の本を手にしたのは、先輩に勧められた中村忠教授の「現代会計学」(白桃書房)でした。当時の定番と言えば飯野利夫先生の「財務会計論」とか大御所黒澤先生ほか番場・染谷・井上先生らの著作などで、新しいところで、当時の会計士二次試験委員で「新若時代」などと言われていた(もちろん「北若時代」のもじりですね)新井清光・若杉明のお二人の著作でしょうか。

社会人になって金児さんの著書を読み、実務に即してこんなわかりやすく会計を説く人がいたんだ、と感心した覚えがあります。実務家の書いた会計本がまだ少なかった時代でした。「上級経理入門」は絶版のようですが、「会社経理入門」は日経からビジネス・ゼミナール・シリーズとしてロングセラー中のようです。

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2006.03.15

得する生活

確定申告も最終日になり、山のような書類の整理をしながら、その山の下に埋もれていた本を発見、パラパラ眺めていたら、1回読んだ本にもかかわらず、つい再読してしまいました。

060315「得する生活」幻冬舎
クレジットカード、マイレージ、債権回収、リゾートマンションなど、お金にまつわる話題を橘氏流の視点から語ったエッセイ。著者もあとがきで述べている通り「マニュアル本ではない」ので、そのつもりで読むと失望するかもしれませんからご注意。

「現実の人間は経済合理性を基準に生きているわけではない」(人々は銀行系ローンよりも金利の高い消費者金融を利用する・・・金利の差に気づくような賢い消費者はそもそも高利の借金などしない)にというくだりには頷いてしまいました。

・・・なんて書いていたところへ、三菱東京UFJからカードローンのDMが届きました。中には「いつでもどこでも。お申し込みはカンタン」と謳われたチラシと申込用紙や返送用封筒がありますが、金利の記載が見あたりません。よくさがすと、チラシの裏に小さく17.9%または14.9%と書いてありました。

郵送またはFAXでも申込みOKの極めて手軽なキャッシングサービスですので、確定申告による納税資金に利用してしまう人もいるかもしれません。特に今回初めて消費税を納付することになる個人事業者の方など、納税資金が負担になっているケースも多そうですし。

ちなみに個人の消費税の納期限は3月31日ですが、口座振替を利用すれば4月27日が振替日。万が一滞納しても5月末までに納付すれば延滞税は4.1%です。経済合理性からすると、どのように行動するのがお得でしょう?

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2006.01.23

懐かしのエラリー・クイーン

060123先日、テレビのミステリチャンネルで偶然、「エラリー・クイーン」(主演:ジム・ハットン)が放映されているのを発見。懐かしさに跳び上がってしまいました。

これは私が高校生の頃、民放の深夜枠でひっそりと放映されていたものではないですか。国名シリーズよろしく解決編の直前に「視聴者への挑戦」が挿まれる遊び心に満ちた快作でした。当時クイーンやカーに熱中していた私は、受験勉強の合間にテレビの前にかじりついた覚えがあります。

放映されるのが前もってわかっていれば、録画しておいたのに・・・

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2005.12.05

SOHO向け情報誌

051205毎月買うようにしているPC関係の雑誌は何冊かあるのですが、その中でも一番役に立っていたのが「月刊サイビズ」という月刊誌でした。パソコン・ソフト・周辺機器の新製品の紹介に終始するような雑誌が多い中、LANの組み方などオフィスでの使用という実務的見地からの記事が多く、参考になりました。

その「サイビズ」誌ですが、98年4月に「SOHOコンピューティング」と誌名を変えSOHO事業者の味方に立つというスタンスを鮮明にし、さらに03年11月には「SOHOドメイン」に、そしてこの05年12月号からは「ネットショップ&アフィリ」という誌名になりました。

サイビズ時代の読者からすると、ずいぶん変わってしまったなあ、という印象ですが、誌名一つ見ても「パソコン→インターネット→電子商取引」という時代の流れが読み取れるようで、おもしろいですね。

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2005.08.17

Zの格納庫を造れ

050817先週、一杯やりながらNHKの深夜お笑い番組「サラリーマンNEO」を見ていたら、前田建設ファンタジー営業部が紹介されていました。架空世界の産物であるマジンガーZの格納庫を実際に造るとしたら、という難(?)テーマに挑んだ、ユニークな企画の物語です。

プールがスライドしてサンダーバード1号が発進したり、二子山の山腹が割れてウルトラホーク1号が出動したりするシーンをワクワクしながら見ていたリアルタイム世代の方々は必読。(ちなみに本はとても真面目な内容です)
p.s.
マジンガーZって、プールから出撃するものと思い込んでいたのですが、実際は光子力研究所の汚水処理場に格納されていたのですね。

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2005.08.13

墜落の夏

日航機が御巣鷹山に墜落して20年。

あの第一報が流れたとき時、自分はどこにいて何をしていたか、よく覚えている方も多いと思います。

私は、出張で岩手県の一関におりました。
駅前にあるホテルサンルートでNHKの画面をずっと見ていたのですが、キャスターの木村太郎氏が、500人以上の名簿をちょっと読んでは「まだ読むんですかあ?」という現場記者の声に対し、「皆さんが今一番知りたいのはお名前ですから、読み続けて下さい!」とたしなめるように言ったシーンが印象的でした。

このエピソードは波紋を呼んだようで、記憶している方もかなりいるようです。昨日もある知人から次のようなことを教えていただきました。

「85年8月20日の朝日新聞に『乗客名と会見、どちらが大事か』という囲み記事があって、NHK・NC9でのやりとり・・・木村太郎キャスターが大阪空港で取材していた記者に向かって『名簿の読み上げをそのまま続けて』と言った一件について触れられている。記事には「記者クラブで発表されるコメントに依存する感覚は、テレビ報道の成熟の中でもう卒業したはずなのに、この『まだ、読み続けますか?』の一言に象徴される感覚には、正直いって落胆した」とある。」

事故について書かれた書籍は多数ありますが、とりあえず事故の全貌を把握するのに適した本として、「墜落の夏(吉岡忍)」があります。

050813本書の注目は、生存者の落合由美さんのインタビューが詳細に載っていること。そして、墜落直後に、彼女の周囲には生存者が多数いたと思われる様子が語られています。

「突然、男の子の声がしました。「ようし、ぼくはがんばるぞ」と、男の子は言いました。学校へあがったかどうかの男の子の声で、それははっきり聞こえました。」

というくだりを読むと、胸が締め付けられるとともに、なぜもっと早く救助できなかったのか、という疑問と怒りがこみ上げてきます。

奇しくも事故からちょうど20年目にあたる昨日(時刻も同じく夜)、JALウェイズ機がエンジンから火を噴き金属片を住宅地にまき散らすという事故がありました。日付の符合は偶然だとは思いますが、何か因縁めいたものを感じた方も多いのではないでしょうか?

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2005.07.21

遊ぶ奴ほど

ブログの更新をちょいとサボっている間に、梅雨も明けてしまいましたね。(気がついたら国税庁のホームページもリニューアルされていました。今年分の路線価は8月1日(月)に公表予定のようです)

050721ところで夏休みを前にオススメの本を1冊。
戦略系・政策系など著作多数の大前氏の、これはライフスタイル系ですね。日々の業務に忙殺されている人こそ、夏休みを前に本書を一読なさることをオススメします。

遊ぶ奴ほどよくデキる!

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2005.07.09

87分署

アメリカのミステリ作家、エド・マクベインの訃報を見つけました。(7月6日、享年78歳)

マクベインといえば、87分署シリーズで有名です。
私が高校生の頃、ポケットミステリで知られる早川書房が、ハヤカワミステリ文庫という新しいシリーズを立ちあげました。それまでクイーン、クリスティー、カーといった本格ものに熱中していた私は、ミステリ文庫の第1期刊行分に入った87分署シリーズの「警官嫌い」「通り魔」を読み、こんなおもしろい小説があったのか、と衝撃を受けた覚えがあります。

05070987分署シリーズは当時ポケミスでも相当数が翻訳されていたのですが、舞台となるアイソラという架空の都市の息づかいを感じるには、重厚なポケミスよりも文庫版の方が似つかわしく、以来、87分署シリーズがミステリ文庫に入るのを待っては読み漁ってきました。

未読の方、オススメいたします。

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2005.06.30

起業/有限会社のすすめ

昨日、新「会社法」が参議院本会議で可決、成立しました。

これから起業を考えている人にとっては、有限会社の新規設立ができなくなることが(今後は株式会社として設立することになる)、中小企業の関係者にとっては、既存の有限会社をどうするか(有限のまま存続するか株式会社に組織変更するか)というあたりが、皆さんそれぞれ関心があるところかもしれません。

ところでこの「有限会社がなくなる」ことについて、「有限会社を作るなら今がラストチャンス!」と、発想を転換してみてはどうでしょう?

改正により資本金1円以上で株式会社を作ることはできるようになりますが、取締役の任期が無制限といった有限会社のメリットにも捨てがたいものがあります。中でもその最大のメリットは「有限会社は決算公告が不要なこと」でしょう。もともと株式公開を目指すつもりなどない家業的な会社はもちろん、オーナー社長のプライベートカンパニーとしての利用など、有限会社の使い道はいろいろありそうです。

050630このあたりをズバリと突いた、全国約180万の有限会社経営者にエールを送る好著がありますので、ご紹介しましょう。

やっぱり有限会社だ!―新会社法!

今年は有限会社の設立ラッシュになる、という見方をする向きも一部であるようですが、果たして?

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2005.06.22

起業/資本金はいくら必要?(番外)

前回、「会社の作り方」の類の本を読んで概略をつかむことをオススメしましたが、ノウハウ的実用書から一歩踏み込んだ好著をご紹介しましょう。
050622起業家サバイバル・ガイド 01

起業した若者が、会社設立後のさまざまな局面で遭遇する法律問題を、弁護士とのメールのやり取りの中で学んでいく、という、ストーリー仕立ての解説書ですが、非常に読みやすい!! 取り上げられている事例も極めて参考になります。

手に入りにくいようですが、新会社法施行に合わせてぜひ改訂版を出して欲しいところです。

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2005.06.20

六本木TSUTAYA

先週土曜日のNIKKEIプラスワンに「本好きおすすめの大型書店」と言うランキングがありました。1位が新宿の紀伊国屋本店で、以下東京駅、渋谷、池袋、神保町と、各スポットの巨艦店が並んでいます。個人的には丸善の丸の内店がランクインしてもいいのではないかと思いますが、まだ出来たばかりのせいでしょうか。

050620ところで、大型ではありませんが極めてユニークな書店として注目なのが、六本木ヒルズけやき坂通りの「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」です。店内の各所に椅子が置かれ、併設されているスターバックスのコーヒーを飲みながら自由に本を読むことができます。品揃えはかなり偏っていますが、たまにはこのような空間に身をゆだね、感性に刺激を受けることも必要ですね。

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2005.05.31

蒲田戦記

昨日、金沢地裁で住基ネットからの個人情報の削除を認める判決がありました。電子政府・電子自治体の普及を進めたい国としては当然控訴するでしょうが、住基カード自体がまったく普及していませんし(総務省の当初見込みでは2003年度で300万枚の交付、しかし2005年3月末での交付実績は54万枚)、個人情報の保護が叫ばれる中、国民の住基ネットへの不信感も広がっているようです。

ちなみに私自身は昨年に住基カードを取得してみました。目的は電子申告・納税手続きのためなのですが、区役所へ出向いてカードを受け取った際に、どのくらい住基カードが発行されているか尋ねると、はっきりした数字は教えていただけなかったのですが、口ぶりでは、かなり少ないようでした。
「どのような人が取得しているのですか?」
「若い方が携帯電話の申込みの際によく取得されているようですよ」
なるほどこれは意外でした。

このとき私が出向いたのは、JR蒲田駅の隣にある大田区役所なのですが、この建物は、バブル時代の日本経済の光と影を凝縮したようないわくつきの物件です。ほとんど区役所に来ることなどないので、せっかくだからと中から外から眺め回しましたが、六本木ヒルズや品川や汐留の再開発ビル群を見慣れてしまうと、場末のちょっと小綺麗な雑居ビル、という感じしかありません。

しかしバブル時代には、このビルを羽田空港拡張工事に連動させた臨空副都心の拠点として、銀座、赤坂、六本木の雰囲気をもっと洗練された形で蒲田に持ち込む(!)という壮大なプロジェクトが構想され、巨大な利権と化したことがありました。最大の当事者である桃源社社長自らが実体験を綴った「蒲田戦記」(佐佐木吉之助著)に、このビルにまつわる事件の顛末が詳細に語られています。オススメ。

蒲田戦記―政官財暴との死闘2500日

050531

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2005.01.14

ジャズを読む事典

昔から「ながらなんとか」が苦手で、ラジオを聴きながら宿題をやるようなクラスメートのことを尊敬していたりしましたが、シーンと静まりかえったオフィスで仕事をするのも息苦しいので、当事務所ではBGMにFM放送を流しています。

以前はインターFMが中心だったのですが、あるときからDJのしゃべりが煩く感じだし、今はJ-WAVEにダイヤルを合わせています。クリス智子さんとか金子奈緒さんとかのDJが耳に心地よいのと毎時にヘッドラインニュースが挟まるので、日中はおおむねダイヤル81.3MHzなのですが、夕方になるとここもしゃべりが多くなってくるので(ピストン西沢氏には申し訳ないのですが)、ラジオを切ってしまうことも多いのです。

替わって聴くのがインターネット放送のSmoothJazz.COM。スムースジャズとは、ある定義によると「アメリカでのラジオ放送での音楽ジャンルを表す言葉。特長として、ジャズのメロディーやハーモニー、アドリブソロを使いつつも、親しみやすい美しい甘美な音楽」とのことですが、BGMにはお手頃です。

050114しかしこれってジャズの範疇に入るのだろうか? と思い、ジャズライターをやっている旧い友人が最近出した画期的なジャズ入門書「「ジャズを読む事典・富澤えいち著・NHK出版」ジャズを読む事典」を紐解いてみました。それによると「smooth=流暢な という意が転じて、そのような印象を受けるフュージョン系のスタイル・・・80年代後半あたりからアメリカのFM局などがスムースと呼ぶようになり、コンテンポラリージャズのスタイルのひとつとなった」とあります。どうやらジャズと捉えて大丈夫なようですが、これはジャズか否か、などとめんどうなことは考えず、音楽なのですから聴いて心地よければ良し、ですよね。

ちなみにこの「ジャズを読む事典」、イラストを、なんとあの居酒屋漫画で有名なラズウェル細木氏が描いています。「酒のほそ道」シリーズの大ファンである私としては意外だったのですが、富澤氏によると「ラズウェルさんは早稲田のダンモ(モダンジャズ研究会)出身の、バリバリのジャズファン」とのことで、納得。(ラズウェル氏には、「ときめきJAZZタイムコンプリート」というジャズ漫画もあります)

p.s.
富澤えいち氏のサイト「ジャズ四谷口」へは、当ブログ左側の LINK 欄から!

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2004.12.04

情報の仕事術

月初の週末なので、たまった書類の整理日です。
一読すればいいものは目を通してそのままゴミ箱へ。気になったものはスキャンしてPDFまたはドキュワークスへ(このあたりの方法はまたいずれ)。保存が必要なものはA4サイズが入る角型2号の封筒へ放り込みます。

この封筒を使う整理方法はオススメです。原理はジャーナリストの山根一眞氏の提唱した有名な「山根式袋ファイル」そのままで、私の場合これを「超」整理法の野口悠紀雄氏にならって時系列にキャビネットに並べるだけです。(山根式袋ファイルについては、氏の「情報の仕事術2 整理 日本経済新聞社」に詳しいのですが、古いのでもしかすると絶版かもしれません)

041204.jpg

この本のすごいのは、表紙カバーの裏面に「山根式袋ファイル作成定規・原寸大型紙」というのが印刷されていることでしょう。やることが徹底しています。私もその型紙をもとにボール紙で定規を作ってみました。型紙を作っておくと、あとは毎回15秒もあれば袋ファイルが出来上がりますので重宝しています。

なお山根式では封筒を五十音順に並べるようですが、私は野口式に時系列にしています。このあたりは仕事の性質や扱う資料の量により異なるかもしれませんね。(下の写真の左がカバーの裏面、右がそれをもとに作った自家製袋ファイル定規)

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2004.09.18

Amazonに雑誌のページがオープン

よく利用するオンライン書店 Amazon に、雑誌のページ がオープンしました。いつもの書店でつい買い忘れた、なんていうときは便利かもしれませんね。

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2004.09.16

税金のすべてがわかる本!

私も含めた税理士の研究会メンバー有志で共同執筆している一般向けの税金解説本の2004年版が出ました。一定数は着実に売れているようで(?)、おかげさまで毎年版を重ねさせていただいております。(初版は1996年)

税制は毎年変わるので、改正に対応した細かい改訂を毎年繰り返していくわけですが、これが結構たいへんな作業です。以前は、改訂のたびに編集会議を何回か開いていましたが、今は執筆者全員が集まるのは1回のみ。編集者を交えた全員で全ページについて改正点をチェックしていき、あとは「Yahoo!グループ」を使ったメーリングリストでのやり取りです。便利になりました。

なおこの本の編集を請け負ってくれているのは有限会社ワードクロスさん。偶然にも(!)、当事務所と同じビルの住人さんです。

040916.jpg
税金のすべてがわかる本
成美堂出版 \1260

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2004.09.03

amazonへのリンク

よく利用するオンライン書店、amazonへのリンクを貼りました。その時々の経営関係の売れ筋が表示されます。ぜひご利用下さいませ。

オンライン書店について、最初は紀伊國屋を利用していたのですが、amazonの使い勝手がよく、最近はもっぱらこちらです。またamazonの梱包箱が、作業中のお客様の書類を入れておくのに手頃、ということもあります。菓子箱よりはちょっとおしゃれな感じもしますしね。

ちなみにアメリカでは、申告時に1年分の領収証をガサッと入れた靴箱を会計事務所に持ってきて「これよろしくね!」というお客様のことをシューボックスと呼ぶそうです。日本だと紙袋でしょうか。

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