税制改革と官僚制
11月から12月にかけて連日のように政府税調が開催され、膨大な資料を基に議論が交わされているようですが、今週の日経朝刊に連載されていた経済教室のテーマは「税制再考」。昨日は東大の加藤淳子教授による税を巡る政策決定プロセスの概観でした。
そこで今回のオススメは、その加藤教授の「税制改革と官僚制」(東京大学出版会)。オアゾの丸善の棚で「書物復権・8出版社共同復刊」という帯とともに目に飛び込んできたこの本、値段が値段なので少し逡巡しましたが、本が放つ「気」には逆らえませんでした。
著者の専門は政治学なので、焦点は税制の内容そのものではなく、政治家と官僚との関係、政党内における意思決定と官僚の影響力の行使との関係についてが叙述の中心となっています。時代は1970年代の大平政権から1990年代の自社さ連立政権まで。
読み物ではなく論文に近いので一般向けとは言い難いですが、資料としてはもちろん、税制改革の視点から見た自民党政権下における現代日本の政治史として読んでも、興味深いものがあります。