木枯し紋次郎
以前、シャーロック・ホームズの新訳を少しずつ読んだ話を書きましたが、その後、似たような短編ものの大作がないかと思って見つけたのが、笹沢左保の「木枯し紋次郎」シリーズです。
中村敦夫のテレビシリーズがあまりにも有名ですが、原作の方もかなりいい。もともと笹沢左保には「見かえり峠の落日」という股旅ものの傑作短編集があって、この出来がまたすばらしく(講談社の大衆文学館という文庫シリーズに入っていました。絶版になってしまったのが惜しい)、これが木枯し紋次郎の原点であると言われており、ならばいつかは紋次郎も読まねばなるまいと思っていたのですが、笹沢左保の作品って、今では手に入りづらいのですね。
光文社時代小説文庫に入っている紋次郎シリーズ全15巻、かなり大きな書店でも置いておらず、ようやく川崎のあおい書店で全巻揃っているのを見つけ、5冊ずつ3回に分けて買っては少しずつ読んできました。(あおい書店の棚は常に15冊全巻が揃っていました)
どの作品も「意外な展開」というミステリのテイストがたっぷりで、とにかく読んでのお楽しみなのですが、紋次郎が斬るわ刺すわで敵を殺すこと殺すこと、15巻で一体何人をあの世へ送ったのでしょうか。中村主水の比ではありません。
ということで、いよいよ読書の秋。一気に読まず、一編ずつゆっくりと読みましょう。