超音速漂流
20年以上前に書かれた航空サスペンスの古典が手を加えられた改訂新版として再登場、ということで、読んでみました。特にひねりとかはなく淡々と物語が進行するパニック小説。もちろん話にのめり込んだ後は一気に読んでしまうだけの面白さは持っています。
民間の旅客機が軍の無人標的機と間違えられ誤射されるという状況は、あの日航123便の真相をめぐる一説を思い起こさせますが、この小説では飛行機は墜ちずに飛び続けて必死に帰還をはかります。しかし軍と航空会社はそれぞれの思惑から機体と生存者の抹殺をねらい帰還を妨害します。ただその妨害が、軍や航空会社の組織的陰謀ではなく、単なる担当者レベルの稚拙なはかりごとにすぎないのですね。そこがストーリーをちょっと軽くしてしまっている感がありました。