神の雫
この正月はワイン三昧。といっても飲むワインではなく読むワインの方、つまり、ワインマンガ「神の雫」であります。時間があるときにゆっくり読もうと思って用意しておいたものを、やっと読むことができました。(もちろん飲む方のワインもちゃんといただきましたが)
この「神の雫」、ドラマ化までされるそうで結構人気があるようです。読んでみると確かにこれは面白い。ジャンルで言えば「美味しんぼ」のような対戦型グルメバトル漫画というのでしょうか。主人公が亡き父の財産を養子となったライバルと争うという、ただそれだけの話なのですが、そこにワインの蘊蓄をはじめ主人公たちの出生の秘密などさまざまな肉付けがなされ、画もきれいで極上のエンターテインメント作品に仕上がっています。
物語は、十二使徒(プラスワン)と呼ばれる謎の13本のワインを一本づつ探り当てては正解を競うバトルを軸に、様々な悩みを抱える人々をワインを飲ませるだけで解決していくマンガならではのエピソードが絡まって展開していきます。
お宝を得るために課された難題を解いて競い合う、というのは竹取物語のような古典的パターン。ただし大勢で争うのではなく主人公とライバルとの決闘十三番勝負の形をとり、それぞれにサポートする人間が付いてチーム同士の争いになります。
主人公のチームは、勤務するビール会社のワイン事業部なのですが、その構成を斎藤美奈子風に分析すると「ヒーロー(主人公)+冷静な上司(部長)+知将(イタリア長介)+子ども(後輩)+紅一点(みやびちゃん)」という戦隊5人組が成立しています。外野で応援するソムリエや飲食店経営者は参謀役とでもいえましょう。
一方のライバルは、サポートメンバーこそいるものの孤高の戦士といった感が強く、また「ライバルvs主人公」の構図が、「秀才vs天才」ないし「鍛えられた天才vs未完の真の天才」という感じで、ライバルの妹がセイラならぬセーラだったり、ライバルが主人公に匹敵する能力を秘めた娘を異国で見い出して鍛えたり、その娘と主人公とがお互いの能力ゆえに意識し合ったり、このあたりはちょっとガンダムを思い起こさせます。
しかし題材をワインに限定しつつ長丁場(まだ十二使徒の半分までも解明されていない)を乗り切るのは並大抵ではないと感じてしまうのですが、それを可能にしてしまうのがワインの奥深さなのでしょう。なお料理とのマリアージュについて、中華やキムチは登場しましたが、寿司がまだ登場していません。そろそろか?
神の雫