与党の平成21年度税制改正大綱
12日に、与党の平成21年度税制改正大綱が公表されました。景気の下降局面の長期化・深刻化という背景のもと、今までの税制改正の流れに逆行する部分も見受けられる内容ですが、ここはやむを得ないところなのでしょう。基本的考え方として、「内需刺激のための大胆かつ柔軟な減税措置」ということで5つのポイントが列挙されています。
1.やはりまずは国内の住宅投資でしょう、ということで、住宅ローン減税と土地の譲渡益課税に手当て。
2.やはりわが国の自慢は自動車でしょう、ということで、自動車の買換・購入需要の促進策。
3.やはり日本は工業力でしょう、ということで、企業の設備投資と海外利益の還流策。
4.やはり支えているのは中小企業でしょう、ということで、税率引き下げ・繰戻し還付・事業承継。
5.やはり何だかんだ言っても金融市場も大事でしょう、ということで、現状の維持・拡大。
中小企業税制。
軽減税率の引き下げは、21年4月以降終了事業年度から(つまり4月決算法人から)。
欠損金の繰戻し還付復活は、既報の通り21年2月以降終了事業年度から(つまり2月決算法人から)。
悪評高い「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」については、「その適用状況を引き続き注視する」とのこと。注視なんかしてないで直ちに中止して下さい!
5000円の電子申告税額控除。
2年間延長。結局まだ思惑通りの普及率に至りそうにないのでしょう。延長は朗報ですが、一人1回きりなんて言ってると、昨年この控除を受けた人は、また紙の申告に戻っちゃうよ?
介護医療保険料控除。
生命保険料控除を改組し、介護医療保険料控除として分離させ「一般生命保険・個人年金保険・介護医療保険」の3本建てとし、控除限度を4万円に引き下げてトータルでは12万円に。これって事務の手間が面倒じゃないですか、と思ってよく読むと、平成24年分の所得税から適用とのこと。なんか保険会社や年末調整を行う企業の手間を増やすだけのような気もしますが。
<参考1>
たとえば「政務税調 平成15年度答申(14年11月)」においては、「引き続き検討すべき項目」として
『生損保控除や住宅ローン控除など、特定の政策目的のために設けられている控除については、税制の歪みを助長し、「空洞化」の一要因となっていることから、引き続き、厳しくその妥当性を吟味の上、廃止を含め見直しを行う。』
とあります。
<参考2>
社団法人生命保険協会の会長コメントがありました。
「本日公表された与党税制改正大綱において、生命保険料控除制度および個人年金保険料控除制度を改組し、所得税の控除限度額を拡充することが示されました。生命保険協会では、国民の自助努力支援である本制度の拡充を長年にわたり税制改正要望の重点項目としてきたことから、今回の制度改組は大いに歓迎すべきものと考えており・・・」
まあ業界団体としての立場はそうなっちゃうのでしょうね。