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2008.11.27

相続税の改正、先送りか

年末も近づき、税制改正の動向が気になる時期ですが、関連する記事が二つ。

まず読売。例によって主語が曖昧な日本語です。

「政府税制調査会が28日に麻生首相に提出する2009年度税制改正答申の全容が明らかになった。
焦点だった消費税の税率引き上げについては具体的な言及を避け、政府が年末までに策定する税制抜本改革の「中期プログラム」で、改革の「基本骨格」として「消費税を含む抜本改革を速やかに開始し、時々の経済状況をにらみつつ、2010年代半ばまでに段階的に実行する」との方針を盛り込む考えを示すにとどめた。
そのうえで、「抜本改革の実施時期を明らかにしたプログラムとすることを強く求めたい」と提言した。
答申は、「昨年の答申に示した各税目の改革の考え方は揺るぎなく堅持すべきと考える」と指摘。このほか、相続税の課税方式を見直すべきとの考えや、海外子会社の利益を日本国内に還流しやすくする国際課税を創設する方針なども示した。」

以上は政府税調の話。なるほど、海外子会社からの配当課税がどうなるかは注目点の一つでしたが、相続税の見直しもこの分では予定通りやるのかな、と思っていたら、日経の夕刊一面から『相続税の抜本改革 先送り』の見出しが目に飛び込んできました。こちらは自民税調の話です。

で、その日経。

「自民党税制調査会は27日、2009年度税制改正の焦点だった相続税の抜本改革を先送りする方針を固めた。景気後退局面を迎えるなかで、最高税率の引き上げや課税対象の拡大、課税方式の変更は困難と判断した。来月中旬にまとめる09年度税制改正大綱にこの方針を盛り込む。
同日午前の党税調正副会長・顧問らの会合は先送り論が続出。税調幹部は会合後、「デメリットが多過ぎる。とても来年度税制改正で結論が出そうにない」と語った。」

要は、財務省は、格差問題への対処(と税収確保)のため資産の再配分を進めるべく、相続税の仕組み全体の見直しと最高税率の引き上げを目論んでおり、多分すでに法案まで仕上がりつつあったと思われますが、このとんでもない経済状況の中、政治的には「デメリットが多過ぎる!」ということで先送りになりそうだ、ということですね。

デメリットといっても、亡くなる人の95%は相続税に無縁なわけですから、消費税の議論と違って、人数的にも99%以上の国民には相続税の改正など無関係の話。やはり「増税」という言葉が景気に与える心理的影響が大きすぎるのでしょうか。

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