リビングストン発見記
ふだんなら読むような類の本ではないのに、ひょんな気紛れから読み始めて、つい一気に読んでしまいました。「緑の魔界の探検者」(H・M・スタンリー)。
小学館の地球人ライブラリーという、歴史ものノンフィクションものを子供向け(高校生以上向け?)に抄訳したシリーズの1冊です。主人公はアメリカの新聞記者スタンリー。彼がアフリカ東海岸のザンジバルからタンガニーカ湖まで、当時まだ未開のアフリカ大陸に分け入っていく苦難の物語。その目的は、中央アフリカの奥地で消息を絶った著名な探検家リビングストン博士を探すため。そう、世界史の教科書でも有名なリビングストンとスタンリーの劇的な出会いのお話です。
ボリューム的にかなり端折った翻訳のようですが、苦難の旅の様子は十分伝わります。とはいっても、スタンリーは博士に出会ったときに備えて祝杯用のシャンパンのボトルとそれ用の銀のグラスまでわざわざ用意して行ったような旅ですから、悲壮感などは感じません。
そしてこれは全くの偶然なのですが、彼らが出会った1871年11月10日のシーンを含めて読了したのが昨夜遅くの日付が変わった夜中すなわち今日。そしてその時気づいたのが「ちょうど137年前の今日、リビングストンとスタンリーは出会ったのか!」。
Google Earth でタンガニーカ湖畔の二人が出会ったウジジという町を眺めると、21世紀の今日では住宅が整然と建ち並ぶ開けた地域のようです。リビングストンやスタンリーのキャラバン隊が数ヶ月歩いてようやく到達した道のりを、はるか離れた極東の地のデスクに置かれたモニター上で一瞬のうちに辿ることのできる現代。100年以上の時の流れといいますか、文明の発達のものすごい速度に、ため息が出てしまいます。