南山手スタイル
書店で平積みになっていて、パラパラと手に取ったら、行ったことのある店や行ってみたい店が載っていたので、つい読んでしまいました。
発行しているのは、バイクとかバス釣りとかの趣味や暮らし関係の雑誌やムックを出しているエイ出版社というところで、湘南とか田園都市とかを冠した「なんとかスタイル」というライフスタイル雑誌もたくさん出しています。
表紙にもある「恵比寿・白金台・目黒・品川・五反田・大崎」という地名は、子供の頃から東京南部が生活圏内だった自分などからすれば、どれもお馴染みの名前。読んでみると、明治通りの渋谷橋から古川橋を結んだラインと山手線で囲まれた港区から品川区にかけてのエリアを「南山手」と称して一括りにし、飲食店を中心にお洒落な生活空間として提示というか紹介をしているわけですが、なるほど、そういう括りは新しい視点かも、と感心しつつも、五反田とか大崎とかを昔から知る身としては、どこかに違和感も覚えます。
なぜだろう、と読み進んでわかったのは、巻末にある東五反田再開発プロジェクトの紹介記事に至ってから。つまり、五反田・大崎間の目黒川沿いの再開発エリアのイメージアップのため、半ば強引に恵比寿とか白金台を仲間に引き込んで、南山手と称して売り出すためのキャンペーンなのではないかしら。
何だか、書店でお金を出してマンションのパンフレットを買わされてしまったような気がしてきたなあ、と思いながら表紙を眺めれば、やはりどうみてもマンションのパンフレットのイメージ写真ですね、これは。
だから、もしかしたら編集もやっつけ仕事なのでしょうか、巻頭の著名人による「南山手宣言します」という目玉記事(たぶん)があるのですが、そのまた筆頭の「松山猛が南山手を巡る」という記事で、目黒川を神田川と誤記するという初歩的かつ決定的ミスを平気で犯しています。また、目黒の自然教育園と紹介されている写真が載っていますが、これって広尾の有栖川公園では?
これでは情報誌としての信頼度に疑問符がつくし、そもそも目黒川と神田川の区別が付かない雑誌に「南山手スタイル」なんて提案されても、何だかなあ、という一冊でしたが、美味しそうなお店がいろいろ載っているので、立ち読み用としてはオススメです。