変わる社会、変わる会計
今回の金融危機に関して、7日の日経に「現在価値革命の暴走と挫折」というコラムが載っており、興味深く読みました。
「投資銀行が担った金融文化の特徴は、あらゆる資産を市場取引の対象とするために、価格を時価で評価する会計思想である。」
なるほど金融問題が会計と密接に結びついているわけですね。米の金融安定化法案は時価会計の凍結を盛り込んでいるようですが、この凍結の話は以前からあって、例えば米国追従路線のわが国でも、2003年にその議論が話題になりました。その経緯は、例えば「変わる社会、変わる会計」(石川純治)をご参照。
時価会計の見直し議論では「時価の算定方法はどうなのよ」という問題と「そもそも時価会計というフレーム自体どうなのよ」という問題があるわけですが、今回は時価として選択した「現在価値」という手法が暴走を起こした、という見方もできるわけですね。
石川教授は本書で、時価会計の見直し議論を突き詰めると、「会計とは何か」「そもそも会計は何のために」という基本問題にかかわってくる、と述べています。そして、そのための視点として「会計ルールとは、資本市場のインフラにかかわるルール(会計規制)」VS「会計ルールとは、経済政策の道具」という対立構図を提示しています。
本書流に言えば、今回の金融危機は「会計とは何か、何のためにあるか、それをあらためて考える格好の生きた教材である」となりましょう。
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