新装刊したビジネスアスキー
伝統あるマイコン雑誌「月刊アスキー」がリニューアルして、ビジネス誌「ASCii」として新装なったのが約2年前。当初は結構充実した誌面が続いていたのですが、一年過ぎて息切れしてきたのか、最近はインパクトのある記事がないなあと思っていたところ、やっぱりという感じで、先月発行の11月号から「月刊ビジネスアスキー」として誌名も新たにリニューアル新装刊となりました。
「日経ビジネスアソシエ」をライバルに、ターゲットを30代から40代のビジネスマンに絞った誌面作りを狙っているようですが、先月号を読んだ限りにおいては、どうもピンときません。そして昨日、新装2号目の12月号が書店に並んでいたので、早速読んでみたのですが、あまり変わり映えしませんでした。何よりも誌面から「気」が感じられません。
毎度のマインドマップ教室に、資産運用の話やマンション選びの記事があったかと思えば、佐藤優氏の国際情勢の解説それも本人の執筆ではなくライターによる聞き書き。取って付けたようなレストラン案内に、「週末は腕をふるおう」と題した料理記事まであります。「時間に余裕のある週末は、ゆったりとした気分でディナーなるものを楽しみたい。」といわれても、『BRIO』ならともかく、週末に自分でゆっくりと伊勢エビを料理するような男は、そもそも本誌など読まないと思うのですが。
また、巻頭の特集に勝間女史、巻末連載には茂木先生と、旬の売れっ子を並べていますが、名前に頼りすぎ。特に仕事術特集の勝間インタビューは、ご本人の特大サイズの写真を何枚も並べるばかりで中身はスカスカ。そもそも、いかに人気者の勝間氏であっても、男性読者は、彼女のプライベートな私生活になど興味はないでしょう。(ちなみに、この夏に某大学であった会計関係のパネルディスカッションを聴きに行ったのですが、第一部の基調講演に勝間氏が登場、会場には若い女性の姿がいっぱいでした。彼女らの多くは勝間氏目当てだったようで、第一部の終了とともにその多くが会場を去っていき、あらためて勝間人気を思い知らされました。内容としては、メインである第二部の会計士協会会長や木村剛氏ほかのパネル討論会の方が面白かったのですが。)
本紙記事の中の質疑応答で勝間氏は「フレームワークのない会話でダラダラと話を続けられると、結局この人は何を言いたいんだろうって思っちゃいます」と答えていますが、もし彼女が読者の立場で本誌を読めば「フレームワークのない誌面でダラダラと活字を続けられると、結局この本は何を言いたいんだろうって思っちゃいます」とでも答えるのではないでしょうか。
以上、リニューアルしたばかりの雑誌に対して申し訳ないと思いつつも、私が高校生の頃から続いている伝統誌の断末魔を見るようで、ちょっと残念な気持ちになり、やや厳しい感想になってしまいました。
でもやっぱりこの雑誌、あと一年はもたないのではないかなあ。