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2008.09.13

鮨屋の人間力

スシネタでもう一冊。

080913
鮨屋の人間力

著者は有名な四谷「すし匠」のご主人。残念なことに私はまだ訪れたことはありません。文春新書の一冊ですが、ボリュームもなくすぐ読めてしまう。人によっては立ち読みで十分かもしれませんが、内容はオススメです。

鮨のウンチク本ではなく、「鮨屋は人間同士のぶつかり合いで成り立っているさらしの商売」という著者が半生を振り返りつつ、カウンターで対峙する客と鮨職人のコミュニケーション、あるいは河岸や弟子とのやり取りを通して、親方言うところの人間力について語りおろした本です。はじめて彼女を連れてカウンターでお鮨でも食べようという若い人などは、目を通しておいた方がよい本かもしれません。

本書の中で、例のミシュランの覆面調査の実例が挙げられています。
「調査員は、一人でやってきました。毎回違う人が4回来ました。日本人が2人に外国人が2人。外国人が初めて一人でやって来ることは珍しいので、だいたい調査員であることはわかってしまいます。最後に来た調査員は、自ら身分証明書を提示しました。」
食べながらメモをとる人はすぐにそれだとわかるそうで、最近だと携帯に料理の評価をメモするやり方もあるようです。

結局のところ、鮨というのは「素材」「仕事」「食べる場」の三つが一体となって成り立つ料理で、ネタだけ良くても、あるいは握りの技だけあっても、それだけではまだ不十分。やはり最後は、美味しくいただくという場が重要であり、それを左右するのが、お鮨屋さんの人間力ということなのでしょう。

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