法人税率の引き下げ
昨日の日経の小さな記事。
「日本の法人税の実効税率がOECD加盟30カ国中、七年連続で最も高いことが民間の調査でわかった。(中略)経済産業省や日本経団連などは引き下げを求めており、こうした声が一層強くなりそうだ。」
(9月24日・日経)
ここでいう民間の調査とは、KPMGが4月に実施したもの。例によって主語が何なのかよくわかりにくいマスコミ表現ですが、私なりに意訳すると次のようになりましょう。
「大手会計事務所KPMGインターナショナルは、今年4月に実施した調査において、日本の法人税の実効税率が、国税と地方税を合わせて40.7%と、OECD加盟30カ国中、七年連続で最も高いというデータを明らかにしている。こういう状況の中、経済産業省や日本経団連などは、かねてより実効税率の引き下げを求めている。日本経済新聞社としても同様の意見を持っており、こうした意見が、行政や一部財界だけではなく、国民的世論として盛り上がることを、当社は希望している。」
政局が落ち着かないこの時期、声高に法人減税を叫ぶと一般的国民感情から反発を招きかねないので、とりあえず様子見という観測気球的ニュアンスが、記事の小ささに表れていると思うのですが、この記事の背景には、9月16日に経済産業省と日本経団連から同時に公表されたレポートがあります。
<参考>
※経済産業省:経済社会の持続的発展のための企業税制改革に関する研究会
「中間論点整理 税制改革に向けて」より
(現状認識)
・我が国の法人所得課税表面税率(事業税の損金算入調整後、いわゆる「法人実効税率」)は世界で最も高い水準。
・近年、アジアを含む諸外国で法人表面実効税率の引下げが行われた結果、我が国と主要諸国(米国を除く)との税率格差は更に拡大している。
-法人表面実効税率(08 年4月)
日本(東京都):40.7%
OECD 平均:27.3%
米国(加州):40.8%
ドイツ:29.8%
フラン:33.3%
イギリス:28.0%
オランダ:26.0%、
中国:25.0%
韓国:27.5%
(主張)
法人税率の国際的な水準(国・地方あわせて30%程度)を実現。その際、安易な国民の負担増につながらないよう、ネット減税を確保しつつ租税特別措置の検証等課税ベースの見直しを行い、法人課税の整理合理化を実施。その際、中小企業の軽減税率を維持・拡充するとともに、関連租税特別措置の重点化・簡素化を図る。
※(社)日本経済団体連合会
「平成21年度税制改正に関する提言」より
法人課税の最重要課題は、グローバルな競争環境に税制を合致させていくことにある。とりわけ法人税率の引き下げ競争が進む諸外国に比べて高止まりしている法人実効税率を、国際的な整合性がとれる水準まで引き下げていくことが最大の課題である。わが国企業の国際競争力強化のみならず、対内直接投資の促進を図り、雇用の確保や所得の増大を通じた持続的な経済成長を図るよう、税制抜本改革の中で法人実効税率を引き下げていくべきである。