きららの仕事
最近、買って読む漫画は、ラズウェル細木、浦沢直樹、とみ新蔵くらいなのですが、今回紹介するこのシリーズ、表紙の握りの写真に惹かれて第1巻を手にして以来、最後まで読んでしまいました。
才能ある女の子が苦難を乗り越え鮨職人として成長していく冒頭は、スシをテーマにしたグルメ漫画と「ガラスの仮面」的根性漫画の融合か、と思いきや、途中からトーナメント式激闘バトルマンガへと転換していく様は、まるで昔の「リングにかけろ」のようです。
強大な敵役である坂巻慶太という鮨職人が主人公のきららよりも魅力的で(彼を主人公にしたスピンオフ作品まで出ている)、他の登場人物も個性的。主人公の出生の秘密、彼女を鍛える老師匠、暖かく見守るいい人たち、秘密の特訓と必殺握り技の応酬、謎の助っ人、リアクション満開の審判員、技やネタの解説役の雑誌記者、対戦して打ち負かした相手が今度は主人公の味方となり、次の対戦相手はどんどんと強大化していく・・・
その少年ジャンプ的展開の心地よさの中にも、しっかりと鮨にまつわる蘊蓄が散りばめられ、大人が読んでも十分楽しめます。
いささか唐突な感じで終わった最終巻でしたが、さらに敵がパワーアップした第2部「きららの仕事ワールドバトル」も始まりました。今度は世界が相手。バーンと見開き1コマでの新必殺握り技の描写など、かつて「リングにかけろ」に熱中した世代の方はぜひご一読を。