第4のビール
たぶん中年以上のオヤジ世代の心をくすぐるCMで人気と思われるサントリーの「金麦」。自分もやはり気になったので、つい1本買って飲んでみました。
たしかに風呂上がりに1杯くらいなら良いかもしれませんが、やはりビールではない。サイダーのような後味。楽しむのはCMだけにしておこうという結論になりました。
特に、つい先日、友人のジャズ評論家に連れられて、新橋のオヤジ街の遙か外れにある「ビアライゼ'98」というビヤホールに行き、旨いビールを満喫したばかりだったので、なおさらです。
「金麦」は、第3のビールかと思っていましたが、分け方によっては第4のビールに分類されるようです。実は20年以上前、趣味で税理士試験の「酒税法」の講座を取って勉強したことがあるのですが、実務に無関係なのと、酒は飲むもので暗記するものではないという単純な事実に気づいて、途中で放り投げてしまいましたが、久しぶりにその酒税法の条文をひもといてみました。
ちょっとまとめてみましょう。
まず、酒税法第3条によりビールの仲間は「発泡性酒類」と定義づけられ、
「ビール」
「発泡酒」
「その他の発泡性酒類」
の3つに区分されます。
さらに、酒税法第23条に定められる税率により次のように区分けされます。
・23条1項1号 発泡性酒類/税率キロリッター当たり220,000円
これが「ビール」ですね。
・23条2項1号 発泡性酒類/税率キロリッター当たり178,125円
・23条2項2号 発泡性酒類/税率キロリッター当たり134,250円
これらは、麦芽使用量が低いことにより「前項の規定にかかわらず」(つまりビールの例外として)、税率区分が低くなっています。これが「発泡酒」。これは単にわが国の酒税法上の区分ですから、ビールと発泡酒をあわせて広義のビールと捉えてよろしいのではないでしょうか。
・23条2項3号 その他の発泡性酒類/税率キロリッター当たり 80,000円
そしてこれが第3分野のビールというわけですが、条文上これがさらに次のイとロの2つに分かれ、第3のビールと第4のビールとなるわけです。少しはしょりますと
イ その他の発泡性酒類 麦芽を使わないで発酵させた発泡性酒類
ロ その他の発泡性酒類 麦芽を使った発泡酒にスピリッツを加えたもの
となり、イが「その他の醸造酒(発泡性)」これが第3のビール、ロが「リキュール(発泡性)」これが第4のビールとなります。特徴を一言で表せば、第3のビールは麦芽なし、第4のビールはほぼホッピー、ということですね。(両者をあわせて単に「第3のビール」と呼ぶケースもあるようです。)
<第3のビールの例>
・キリン のどごし生
・アサヒ ぐびなま
・サッポロ ドラフトワン
・サントリー ジョッキ生
<第4のビールの例>
・キリン 良質素材
・アサヒ 極旨
・サッポロ ダブルドライ
・サントリー 金麦(やっと出た!)
ポピュラーな350ミリリットル缶で税率を換算すると、各ビールの税金は
ビール: 220,000円×0.035%=77円
第3・第4のビール: 80,000円×0.035%=28円
というわけで、「金麦」の税負担はビールの約3分の1、小売価格は約3分の2となります。近所のセブンイレブンでは1缶135円で売られていました。