« June 2007 | Main | August 2007 »

2007.07.21

住民税の負担増

住民税がらみの話題をもう一つ。

最近、6月から個人の住民税負担が増えたことによる重税感を紹介するマスコミ記事をよく目にしますが、これは改正直後からわかっていたことであり、総務省や自治体もかなり前からしきりにアナウンスしていたわけですから、何を今ごろ、と思う部分もありますが、納税者の本音は、下のアンケートの見出しにもあるように「事前に知っていても腹が立つ」というところにあるのでしょう。

「3か月以内に知ったという人が7割にのぼりました」というのも、結局のところ源泉徴収制度で骨抜きにされた国民の納税意識の反映なのでしょうね。

| | TrackBack (0)

2007.07.18

住民税未納疑惑

参議院選候補の元テレ朝丸川アナが、期日前投票をしようと新宿区役所を訪れたところ、選挙人名簿に名前がなく投票できなかったうえ、住民税の未納疑惑まで取り沙汰されてしまったという報道がありました。

「丸川氏は平成15年6月、住民票の転出届を出しテレビ朝日のNY支局に赴任。16年6月に帰国したが、今年4月20日前後になって転入届を出したという。陣営は『公示日前日から3カ月前の4月11日までに転入届を出していないと投票できない。29日も投票は厳しい。こんなことになるとは』とガックリ。一昨年の衆院選や4月の統一地方選も投票していないことまで発覚。気になるのは約3年間の住民税だが、陣営は『テレ朝からもらっていた給与明細を本人が確認したら住民税を納めていた。どこの自治体かは、テレ朝に聞かないと分からない』と話した。(サンスポ)」

個人の住民税は1月1日の住所地に納税することになるので、未納疑惑が指摘されるのはわからなくもありませんが、テレ朝の事務担当部門が無能だとは考えにくいですし、住登外課税という例外もあるわけですから、その間投票に行っていなかったことは別問題として、もし未納疑惑を批判したいのならば、まず事実関係を確認のうえで行わなければなりませんね。

さて事実はと言うと、
「住民票の移し忘れから今回の参院選の投票権を失い、住民税未納疑惑が浮上していた自民党の東京選挙区候補で元テレ朝日アナ丸川氏が17日、都内で納税通知書のコピーを報道陣に公開した。少し疲れた表情の丸川氏は、都民税、住民税の納税通知書のコピーを差し出すと『住民税はちゃんと払っておりました』。コピーは平成16年度から18年度の3年分で、納付先は新宿区。18年度は約76万円を納めた。(サンスポ)」
ということで、地方税法294条3項により、実際のお住まいできちんと納税(というより会社側がきちんと特別徴収)していたようです。憶測だけで「未納か?」などと報道されてしまった丸川氏にはちょっと気の毒な出来事でした。

この顛末でわかったのは、
・住民登録というのは、行わなくても意外と生活できるものなんだなということ。
・政党側も、候補者選定に当たって、きっちりとしたリサーチをしていないんだなということ。
ですが、自民党がそんなに脇が甘いとは思えないので、(意図はわかりませんが)これも想定内の出来事なのかもしれません。

Continue reading "住民税未納疑惑"

| | TrackBack (0)

2007.07.07

e-Taxで5,000円の小遣い稼ぎ(後編)

もう一歩先。そのポイントは、この還付手続きを、職場や地域・グループなど、団体として組織的にやってしまおう、という点です。

この税額控除は、そもそも、e-Taxを使うための準備コストに対する補助金的性格を持っていますので、既に電子証明書やICカードリーダライタを持っている人以外は、5000円の還付を受けても準備コストで消えてしまい、手許に残るキャッシュはわずかです。

そこで、この大作戦の登場です。
ICカードリーダライタなど日常的に使うものではないので、個人で買っても宝の持ち腐れです。だったら、リーダライタを繋いだ電子申告専用のPCを会社で1台用意し、昼休みにでも社員に解放して、自由に還付申告に使ってもらったらいいのではないか。これなら電子証明書の取得コストだけの負担になりますので、一人当たり4,000円の小遣い稼ぎになります。

会社だけではありません。アルバイト学生用に大学の学生課に設置、年金所得者向けに医療機関の待合室に設置、住民向けにマンションの管理人室に設置、そしてもちろん自治体のサービス窓口にも設置です。少なくとも、e-Tax普及率に一喜一憂している国税庁・財務省職員は、職場単位で実施すべきでしょう。さらに言えば、この手続きを、税務職員のみならず、すべての国家公務員と地方公務員が率先して行い、国民に見本を示す、というプランが考えられます。

とまあ、これが「大作戦」である所以なのですが、セキュリティへの配慮とICカードリーダライタメーカーの反発を度外視すれば、なかなかおもしろいアイデアです。

この話をある幹部当局者にしたところ、「うーん、そんなことが法的に出来るのかなあ? システム上の負荷も心配だなあ! ・・・いや、やはりそれは(そんな還付申告は)出来なんじゃないかなあ?」という否定的感想(あくまで雑談上です、公式見解ではありません)が返ってきました。

一方、提唱者であるK税理士は、
「法的には可能だし、立法者も、その程度のことは当然想定しているはずです。ただし大いに宣伝されて5000万サラリーマンが一斉に、というところまでは想定外かもしれません。少数ならよくて多数だったらダメなんてことは言えないことだから、「行き過ぎた節税策」とかいう名目で規制がかかる可能性はないと思っています。国税当局は、おもてづらは渋い顔をしながら、裏では喜ぶような気がします。総務省と自治体は大喜びのはずです。」
との見解。

この作戦のデメリットは
・かける手間や時間コストに見合うリターンか、という費用対効果の問題
・所得状況が国税当局に把握されるリスク(などと表現してはいけませんね)
・故意による過大還付申告(国を相手にした一種の詐欺行為)の横行による混乱

一方、納税者にとってのメリットは
・一生に一回の数千円のお小遣い
・取得した電子証明書やICカードリーダライタが今後役立つ(こともあるかもしれない)
・納税意識の向上(?)

この大作戦、今後の半年間でどのように展開していくか、密かに注視したいと思います。

| | TrackBack (1)

« June 2007 | Main | August 2007 »