もう一歩先。そのポイントは、この還付手続きを、職場や地域・グループなど、団体として組織的にやってしまおう、という点です。
この税額控除は、そもそも、e-Taxを使うための準備コストに対する補助金的性格を持っていますので、既に電子証明書やICカードリーダライタを持っている人以外は、5000円の還付を受けても準備コストで消えてしまい、手許に残るキャッシュはわずかです。
そこで、この大作戦の登場です。
ICカードリーダライタなど日常的に使うものではないので、個人で買っても宝の持ち腐れです。だったら、リーダライタを繋いだ電子申告専用のPCを会社で1台用意し、昼休みにでも社員に解放して、自由に還付申告に使ってもらったらいいのではないか。これなら電子証明書の取得コストだけの負担になりますので、一人当たり4,000円の小遣い稼ぎになります。
会社だけではありません。アルバイト学生用に大学の学生課に設置、年金所得者向けに医療機関の待合室に設置、住民向けにマンションの管理人室に設置、そしてもちろん自治体のサービス窓口にも設置です。少なくとも、e-Tax普及率に一喜一憂している国税庁・財務省職員は、職場単位で実施すべきでしょう。さらに言えば、この手続きを、税務職員のみならず、すべての国家公務員と地方公務員が率先して行い、国民に見本を示す、というプランが考えられます。
とまあ、これが「大作戦」である所以なのですが、セキュリティへの配慮とICカードリーダライタメーカーの反発を度外視すれば、なかなかおもしろいアイデアです。
この話をある幹部当局者にしたところ、「うーん、そんなことが法的に出来るのかなあ? システム上の負荷も心配だなあ! ・・・いや、やはりそれは(そんな還付申告は)出来なんじゃないかなあ?」という否定的感想(あくまで雑談上です、公式見解ではありません)が返ってきました。
一方、提唱者であるK税理士は、
「法的には可能だし、立法者も、その程度のことは当然想定しているはずです。ただし大いに宣伝されて5000万サラリーマンが一斉に、というところまでは想定外かもしれません。少数ならよくて多数だったらダメなんてことは言えないことだから、「行き過ぎた節税策」とかいう名目で規制がかかる可能性はないと思っています。国税当局は、おもてづらは渋い顔をしながら、裏では喜ぶような気がします。総務省と自治体は大喜びのはずです。」
との見解。
この作戦のデメリットは
・かける手間や時間コストに見合うリターンか、という費用対効果の問題
・所得状況が国税当局に把握されるリスク(などと表現してはいけませんね)
・故意による過大還付申告(国を相手にした一種の詐欺行為)の横行による混乱
一方、納税者にとってのメリットは
・一生に一回の数千円のお小遣い
・取得した電子証明書やICカードリーダライタが今後役立つ(こともあるかもしれない)
・納税意識の向上(?)
この大作戦、今後の半年間でどのように展開していくか、密かに注視したいと思います。