インテリジェンス
この正月休みに読んだ本。
いつも休み前は、あれも読もうこれも読もうと意気込むのですが、結局今回は、雑誌のほかは、この1冊のみでした。
創刊されたばかりの幻冬舎新書の1冊で、手嶋龍一(外交ジャーナリスト)、佐藤優(鈴木宗男事件で外務省のラスプーチンと呼ばれた外交官)の両氏による対談本です。両者が外交をめぐる「情報(インテリジェンス)」について語り合います。オススメ。
本書の内容は様々なところで紹介されていますのでここでは触れませんが、興味深かった部分を二つほど。
一つは、イスラエルにあるという、中世の魔女裁判で魔女の弁護を担当する人からヒントを得て作られた悪魔の弁護人制度。どの課題に対しても「これではダメ」と難癖をつけるというもので、この、あえて反対意見を言うという議論の方法は、大前研一氏も以前から「悪魔の使途 devil's advocate」として、しきりに提唱していました。
もう一つが、ミッドタームキャリア。本書では日本のジャーナリストを例に採り、「彼らはリタイアが早くて、すぐデスクになって現場を離れてしまう。結局そのくらいで燃え尽きてしまう。焼き畑農業と同じで、それまでの蓄積を使い果したらおしまい。やはり、いわゆるミッドタームキャリア(中間研修)という、新たな蓄積をする機会が必要だ。これがその後の仕事に非常にプラスになる」という趣旨のことが述べられていますが、我々専門職には胸に響きます。
かつて、ある著名な税理士に「日々のニュースや統計の裏にある事象を分析し、それを政府がどう税制に取り込んでいくかを先回りして予測できるようにならなければプロとはいえない。税制改正のニュースを追いかけているレベルでは、まだアマチュアだよ」と言われたことがありますが、これなど税制の世界におけるインテリジェンスと言えるのかもしれません。