ダ・ヴィンチ・コードもいいが
暑かった8月もやっと終わりました。暑い夏は涼しい部屋でゆっくりと読書でも、と思っていたのですが、とてもそんな余裕はなく、電車の中などで雑多な本を読み飛ばしただけの夏でした。
ところで小説の類で近ごろ読んだのは、話題のベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」のみ。映画化されたのでそっちも観ようと思ってたのですが、いつの間にか上映も終わってしまいましたね。
この「ダ・ヴィンチ・コード」(小説の方です)、書店ではまだ売れ続けているようですが、評判に煽られて読んでみた感想はというと・・・
一度読み出したらノンストップで読み切らせる出来のいいサスペンススリラーであることは確かですが、それ以上でもそれ以下でもなし。
タイトルにあるようなダ・ヴィンチの暗号を解き明かすわけでもなく、作中人物が作った暗号を作中人物が解くだけで、ミステリノベルとしての謎も、西洋史における謎も、読者をうならせるにはいま一歩と感じました。期待が大きかっただけに、ちょっと残念。(とはいえ面白いことに間違いないので、暇がある人はぜひ)
キリスト教という大きな歴史上のテーマを扱っているのですから、「石の血脈」「産霊山秘録」の半村良のようなテイストで書かれたら、もっと壮大なスケールの傑作が生まれたような気がします。
ということで、残暑の夜には下記二作品をオススメ。
(しかし、小松左京と同じく、半村良の作品群も、角川文庫のシリーズで一時期はどこの書店でも簡単に手に入ったものですが、いつの間にか姿を消してしまいましたねえ)