同族会社増税に対し東商が要望書
当ブログでも「サラリーマン法人潰し」として取り上げてきた同族会社への増税。ターゲットとなってしまった同族会社の皆さんも、ようやく課税強化を実感しはじめたようですが、先週送られてきた東商新聞を見ていたら、
「東京商工会議所は『特殊支配同族会社の役員給与の損金算入制限措置に関する要望』を決議」
という記事を発見しました。
要望書には
「本措置が及ぼす既存の同族会社への影響の大きさ、あるいは本来の政策意図と実際の影響との食い違い、さらには税体系全体との整合性など、いくつもの問題点が明らかになった。」
とあります。
問題点は当初からわかっていたのですから、「今ごろ遅すぎ!」という思いもありますが、やはり実際に増税額を試算した結果を、各経営者達がやっと実感として把握できてきた、ということなのでしょう。(問題点の一番目に「影響の大きさ」が指摘されています)
要望書全文は東商のサイトで読めますが、要点が6つにまとめられているので、要旨を簡単に紹介します。
1.影響の大きさ
(1) 財務省発表数字よりも大きい可能性
財務省の発表によると本措置は300億円の増税で5~6万社が対象になるとの説明だが、東京税理士会の調査結果や当所23支部と当所税制委員会との懇談会における中小企業経営者自身からの意見、あるいは当所が実施した会員企業への聞き取り調査の結果などは、いずれも財務省の発表数字よりも影響が大きくなる可能性を示唆している。
(2) 既存の一般企業への影響が大きい
特に当所で実施した会員企業への聞き取り調査の結果を見ると、従業員規模、業歴とも十分に備えた一般の企業が本措置の対象となる事例を容易に見つけることができる。「個人事業者として設立すべきところ法人成りにより二重控除を受けようとする節税行為を防ぐ」という本措置の対象は、このような企業ではなかったはずである。
<ちょっとコメント>
※1 昨年12月に財務官僚から説明を受けた議員の言葉として「タレントみのもんた氏や大リーガー松井秀喜選手を例に、手当ての必要性を口頭でレクチャーされた」と聞き及んでいます。フタを開けてみたら身近な中小企業にこれほど影響があるとは、議員たちも想定していなかったのではないでしょうか。(ちょっとだまし討ち的なレクチャーですね)
※2 一方で「今回の改正は、将来の消費税増税への布石」という見方もあるようです。すなわち、税制の抜け道として国民が不公平感をもっている部分を塞いで、「さあ、法人成りで節税メリットを享受しているような方々への対策はとりました。これで皆さんの不公平感は解消されましたね? では、残るは消費税の税率アップしかありませんよね!」と国民を納得させるステップの一つというものです。