電子申告の弱点(中編)
前回のつづきです。
では実際の電子申告の使い勝手はどうなのか? ということで、以前自分でトライした結果を記録した文章があったので、再掲してみましょう。ちなみに平成16年秋の話ですので、念のため。
1.結構めんどう
自分自身がまず実験台として署に申請、e-taxソフトを入手しました。「申告」の時期ではないので、「納税」手続きにトライ。申告所得税の予定納税を電子納税でおこなってみました。無事できた(と思う)のですが、結構めんどくさい。ネックになるのは、
・いろいろな登録番号やパスワードがごちゃごちゃになる
・電子署名の部分が目に見えないので最初は戸惑う
というあたり。
毎月のように行って慣れれば多分どうという事はないのでしょうが、一般納税者が年1回やるだけとなると、結構しんどい(確定申告書等作成コーナーを利用した方がだんぜん早くて楽)と思います。
2.申告より納税の方が需要あるのでは
会計事務所に依頼している納税者の側に立てば、電子申告のメリットは「いまのところ全くない」と私は思います。むしろ「納税」の方が納税者にとって利便性があるはず。実際、すぐに何件かの顧問先から「オンライン納税したい」という要望がありました。特に源泉税など毎月発生するものについて、いちいち金融機関の窓口に行ってられない、という潜在需要が結構あると思います。
3.住基カードの勘違い
そこで、顧問先に電子納税の方法をレクチャーしよう、と、まず自分で公的個人認証を取得し、トライしてみました。ところが、区役所で取得したICカードを使っても、ソフトが反応しない。おかしいなあ、と思ってサイトで調べると、「区役所から交付されたソフト云々・・・」とか書いてあります。でも私が交付されたのはカードだけ。確認のため区役所の戸籍課へTELしてわかったこと。
・住基カードと公的個人認証は別物 ・公的個人認証サービスとは、住基カードを持っている人に対して電子証明書を発行するサービスのこと
・つまり申請にあたっては
1.住基カードの交付を受ける
2.同時にそのカードのチップにに電子証明書を格納してもらう
という二段階の手続きが必要
私はこの両者を混同してました。結局、私は空っぽのカードをリーダライターにセットしていたわけですね。
「そんなこと、どこに書いてあるの?」と区役所に言ったら、
「申請時に窓口で、電子証明書は使いますか、と確認しているのですが・・・」
とのこと。どうやら申請だけ近所の出張所で行ったので、出張所レベルではそのあたりの対応が徹底していなかったようです。(このへんは区によって対応が異なるかもしれません)
4.銀行が法人顧客に対応していない?
電子納税にあたっては、銀行とインターネットバンキングの契約が必要です。個人の場合、Pay-easy(ペイジー)という公共料金払込システムに対応しているのでOKなのですが、法人契約の場合、まだダメなのですね。
例えば、顧問先がみずほ銀行に問い合わせたところ「対応していない」と言われたそうで、せっかく電子納税をやる気になっていたその会社は、相変わらず窓口で納税をしています。(つづく)