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2006.01.29

続・中小企業48万社が増税に?

「同族会社役員報酬の損金算入制限」の件、読売に続いてマスコミの反応がでました。1月26日の東京新聞社説「オーナー課税・ひずみは放置できない」。税理士会がこの改正に反対意見を表明していることへの反発です。税理士会が反対していることに「税理士の顧客が減ることを懸念しているのではないか」と邪推していますが、執筆者の品性が透けて見えますね。

反発の論拠は「個人事業者と比べて不公平」とのこと。「法人化していない個人事業主と比べて不公平なだけでなく、基本的に給与所得控除しか受けられないサラリーマンにも不満が強かった」そうですが、事実は正反対で、サラリーマンこそ実額経費以上の給与所得控除という恩恵を受けているはずです。個人事業者との不公平を叫ぶのなら、サラリーマンの給与所得控除を廃止せよ、と主張するのが筋でしょう。

起業し法人成りした事業者は、会社法や法人税法が適用される個人事業者とは別の世界へ足を踏み入れたわけですから、見かけ上の税負担の違いを取り上げて不公平を叫ぶのはナンセンスです。

この改正が問題なのは
・プロセスの無視
・歪んだ公平・公正感覚
・税理論上整合性を欠く手直し
・国民経済への悪影響
という点だと思います。

「国民経済全体の視点から、税制度に公正を欠く抜け穴があれば、政府がそれを正すのは当然」と、まるで政府の広報マンのような書き方ですが、政府が本来進めているはずの起業促進策に逆行するこの改正は、長期的・マクロ的に見れば国民経済全体に悪影響を及ぼすでしょう。

また「財務省によると改正で対象になるのは六万社程度に上る。法人全体の2%程度」とも述べていますが、6万社と48万社では数字に開きがありすぎます。マスコミなら、当局の発表を鵜呑みにせず、自らデータを収集して検証する姿勢も必要なのではないでしょうか。

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