続・サラリーマン法人潰し
昨日、与党税調の平成18年度税制改正大綱が公表されましたが、前回のブログで触れた案件は、結局織り込まれてしまいました。(同族会社の留保金課税は廃止ではなく見直し)
ところがこの改正、定率減税・IT投資減税の廃止やたばこ税の引き上げといった話題に隠れて、マスコミではあまり騒がれていません。影響の大きさがまだ理解されていないようです。
手許に「マル政処理案」と書かれた12月13日付の自民税制調査会の資料の一部がありますが、そこには、この改正(・・・実質的な一人会社のオーナーの役員給与の一部を損金と認めない) により、個人事業者と一人会社の税負担を同一にすることが目的であることが、ある言葉とともに図解されています。
そのキーワードは「イコールフッティング」。
経済財政諮問会議のサイトに「構造改革用語集」というものがあり、「イコールフッティング equal footing =適切・平等な競争条件のこと」とあります。郵政民営化の議論の中でよく使われている言葉で、競争条件の平等化、平等な市場参入条件、公正な競争条件、二つの仕組みが同じ条件で競い合うこと、対等な立場や地位など様々な使われ方もするようですが、結局のところ小泉改革のキーワードで、反論を許さない殺し文句みたいなものです。
しかし、個人事業者と、たとえ一人会社とはいえリスクを取りビジョンとベンチャー精神を持って法人成りした起業者との間に、イコールフッティングを求めるのは、お門違いというものでしょう。どう理屈をこねられても、これは「給与所得控除を使った節税を目的とした法人成り」封じに他ならないわけですが、給与所得控除のメリットだけを目的に起業する人はいないわけで、財務省は起業ブームを見誤っていると言わざるを得ません。
政策的問題として検討するマル政案件ですから税理論的に反論を述べても無駄なのでしょうが、起業を考えていらっしゃる方々、それを応援しようとしている方々は、この改正に反対の声を挙げなければなりませんね。
p.s.
穿った見方をすると、経済産業省や法務省が起業促進策を考えるのはいいが、公務員数が削減される中、これ以上小規模な納税者が増加したら国家の徴税部門としては対応しきれないという財務省のホンネも、一部にあるのでは?