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2005.06.30

起業/有限会社のすすめ

昨日、新「会社法」が参議院本会議で可決、成立しました。

これから起業を考えている人にとっては、有限会社の新規設立ができなくなることが(今後は株式会社として設立することになる)、中小企業の関係者にとっては、既存の有限会社をどうするか(有限のまま存続するか株式会社に組織変更するか)というあたりが、皆さんそれぞれ関心があるところかもしれません。

ところでこの「有限会社がなくなる」ことについて、「有限会社を作るなら今がラストチャンス!」と、発想を転換してみてはどうでしょう?

改正により資本金1円以上で株式会社を作ることはできるようになりますが、取締役の任期が無制限といった有限会社のメリットにも捨てがたいものがあります。中でもその最大のメリットは「有限会社は決算公告が不要なこと」でしょう。もともと株式公開を目指すつもりなどない家業的な会社はもちろん、オーナー社長のプライベートカンパニーとしての利用など、有限会社の使い道はいろいろありそうです。

050630このあたりをズバリと突いた、全国約180万の有限会社経営者にエールを送る好著がありますので、ご紹介しましょう。

やっぱり有限会社だ!―新会社法!

今年は有限会社の設立ラッシュになる、という見方をする向きも一部であるようですが、果たして?

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2005.06.22

起業/資本金はいくら必要?(番外)

前回、「会社の作り方」の類の本を読んで概略をつかむことをオススメしましたが、ノウハウ的実用書から一歩踏み込んだ好著をご紹介しましょう。
050622起業家サバイバル・ガイド 01

起業した若者が、会社設立後のさまざまな局面で遭遇する法律問題を、弁護士とのメールのやり取りの中で学んでいく、という、ストーリー仕立ての解説書ですが、非常に読みやすい!! 取り上げられている事例も極めて参考になります。

手に入りにくいようですが、新会社法施行に合わせてぜひ改訂版を出して欲しいところです。

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2005.06.20

六本木TSUTAYA

先週土曜日のNIKKEIプラスワンに「本好きおすすめの大型書店」と言うランキングがありました。1位が新宿の紀伊国屋本店で、以下東京駅、渋谷、池袋、神保町と、各スポットの巨艦店が並んでいます。個人的には丸善の丸の内店がランクインしてもいいのではないかと思いますが、まだ出来たばかりのせいでしょうか。

050620ところで、大型ではありませんが極めてユニークな書店として注目なのが、六本木ヒルズけやき坂通りの「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」です。店内の各所に椅子が置かれ、併設されているスターバックスのコーヒーを飲みながら自由に本を読むことができます。品揃えはかなり偏っていますが、たまにはこのような空間に身をゆだね、感性に刺激を受けることも必要ですね。

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2005.06.18

起業/資本金はいくら必要? 3

1円起業などで、自分で手続きのすべてを行ってコストを安くあげようという方も多いと思います。「お金がないからやむを得す1円起業を選ぶのであって、専門家に頼む予算があるくらいなら、きちんと最低資本金以上で起業するよ!」という声が聞こえてきそうです。

一方で、次のような意見もあることをご紹介しておきましょう。

「書店に行くと『会社の作り方』といったタイトルでたくさん類書が並んでいる。しかし、これから会社を作ってお金儲けをしていこうという人にとって、そんな本は何の意味もない。お金儲けをしようという人が、単純作業に時間を費やすべきではない。(司法書士など専門家に頼みなさい!) 司法書士に払うお金をケチっているようでは事業家としての未来はない。(設立手続などを)すべて自分でやった、一銭もかからなかったと自慢した人で、ビジネスに成功した人を、今まで見たことがない。」(瀬川博美 あなたの会社をつくりなさい!―設立から事業成功までの18の鉄則

もっとも、かのホリエモン氏は「有限会社の作り方」といった本を参考に自分で会社を作ったそうですから、例外もあるわけです。しかし彼は一銭もかからなかったことを自慢してはいませんし、きちんと事業プランに見合った資本金を用意してスタートしていますので、単にコストをケチっただけ、というわけではないでしょう。

堀江氏は「最低6ケ月分の運転資金を資本金にすること」「税務や会計は専門の税理士に任せること」を知っただけでもその本を読んだ価値があった、と述べています。会社設立や運営手続きの概略をつかむためにも、起業を考えている方は、そのような本をひととおり読んでみても無駄にはならないはずです。そのうえで、手続きを自分でやるも良し、専門家に任せるも良し、ですが、あくまで目的は「会社を作ること」ではなく「起業すること・ビジネスを起ち上げること」にあることは肝に銘じておきましょう。

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2005.06.14

起業/資本金はいくら必要? 2

これは聞いた話ですが・・・
1円起業制度ができたとき、制度を考えた担当者の間でこういう話があったそうです。
「そんなミジンコみたいな会社をいっぱい作らせて、どうするの?」
「たとえほとんどが死んでしまっても、ほんの数匹でも大きくなってくれれば、それでいいのでは」
ということで、1円会社のことを一部ではミジンコ会社と呼ぶそうです。

さて本題。
資本金はいくら必要かという話に入りましょう。
「家業」を単に会社組織にするだけなら別ですが、「事業」のスタートであるならば、常識的に考えれば、やはり運転資金として最低でも100万円前後のキャッシュを用意しなくては、会社を稼動させることは現実問題として難しいのではないのでしょうか。現行制度での有限会社の最低300万円というラインは妥当な感じがします。1円起業の設立を数多く手がけている知り合いの行政書士さんも、「アイデアや情報を売るビジネスなら1円起業も不可能ではないけれど、物販などの場合は、やはり元手としてある程度のキャッシュが必要なので、1円起業はやめるようにアドバイスしている」とのことです。

ここでちょっと、起業の際の資本金についての見解を、手許にあった本からいくつかご紹介しましょう。

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2005.06.11

人口減少と税務相談

国税庁がこの春に出した「税務相談事務の見直しについて」というペーパーがあります。国税当局は税務相談室など局や署の窓口で納税者からの税務相談に応じていますが、実態をみると、一般納税者だけでなく税の専門家である税理士からの相談も多く、相談の本来の趣旨から外れてしまっている状況がみられるとのこと。このため今後は、納税者からの個別的な質問は署における面接談等で対応し(一般的な質問は電話相談センターに集約)、税理士からの質問には対応しないという方向になるようです。

税理士からの相談が目に余るということなのかもしれませんが(裏返すと、税理士のレベルが低下しているということ?)、その背景には「人口減少社会・超高齢化社会の到来による労働力人口の減少により、スリムで効率的な政府の実現が求められ、税務行政に携わる職員数の増加が困難である」(出典:税務行政を取り巻く環境の変化と国税庁の対応について)という切実な事情があるようです。

先日ある講演で「わが国の諸制度はすべて、人口が減少しないということを前提としている。人口が減るということは、制度の根底がひっくり返るほど深刻な大問題なのである」という話を聞きましたが、税務相談という、人口減少とは何の関係もなさそうなところにも、その影響が及んでいるわけですね。

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2005.06.10

起業/資本金はいくら必要? 1

起業ブームにからんだ話題です。

自分も起業しよう! 会社を作ろう! となった場合、いったい資本金はいくら用意すればいいのでしょうか? 現行の法律では、株式会社は最低1000万円、有限会社なら最低300万円、特例としていわゆる1円起業の制度を使えば最低1円です。来年新しい会社法が施行された後は、1円以上であれば制約なし。

この最低資本金の撤廃に関しては、国会の法務委員会での議事録を見ても「本当に大丈夫なのか? ダミー会社・怪しい会社の乱立がおこるのではないか? そもそも300万や1000万のお金を集められないような人が会社をやっていけるのか?」という疑問が何人もの委員から出されています。

結局、会社の価値や評価は資本金で決まるものではない、例えば政府系金融機関の融資基準も資本金の多寡といった形式基準は採用していない、ということで、1円でもOKとなったわけですが、忘れていけないのは、
「今までは債権者保護という観点から最低資本金として一定額を求めていた。しかしそれを撤廃した以上、今まで実態としてあまり守られていなかった財政状態を開示する公示制度を、株式会社制度の生命ということで強く求めていく。守られない場合の過料の制裁も徹底していく」(法務省)
という発言です。見過ごされがちな点ですので注意が必要です。

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2005.06.02

起業ブーム?

050602世は起業ブームだといいます。起業や副業を煽る、もとい奨励する出版物もあふれています。職業柄ついつい手にして読んでしまい、なるほどうまく仕掛けているなあと感心することも多いのですが、新会社法により最低資本金制度も撤廃され、国を挙げて起業を奨励しているのですから、ブームになってもらわなくては困るわけですね。

ところで起業支援の一つとして、この4月から施行されている「中小企業新事業活動促進法」があります。個人がネットを使って小さな起業をする週末起業とか情報起業と呼ばれるものよりはもう少し重厚な事業を想定していると思われますが、元締めである中小企業庁が盛んにPRしています。中小企業向けのさまざまな施策がまとめられたガイドブック(写真の青い冊子。150ページ以上ある)もでています。同じものはネットでもアップされていますので、興味ある方はこちらからどうぞ。

■「平成17年度版 中小企業施策利用ガイドブック」

また中小企業新事業活動促進法については、マンガ形式での解説書があります。

■「マンガでわかる創業・経営革新・新連携ガイドブック」

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