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2005.05.31

蒲田戦記

昨日、金沢地裁で住基ネットからの個人情報の削除を認める判決がありました。電子政府・電子自治体の普及を進めたい国としては当然控訴するでしょうが、住基カード自体がまったく普及していませんし(総務省の当初見込みでは2003年度で300万枚の交付、しかし2005年3月末での交付実績は54万枚)、個人情報の保護が叫ばれる中、国民の住基ネットへの不信感も広がっているようです。

ちなみに私自身は昨年に住基カードを取得してみました。目的は電子申告・納税手続きのためなのですが、区役所へ出向いてカードを受け取った際に、どのくらい住基カードが発行されているか尋ねると、はっきりした数字は教えていただけなかったのですが、口ぶりでは、かなり少ないようでした。
「どのような人が取得しているのですか?」
「若い方が携帯電話の申込みの際によく取得されているようですよ」
なるほどこれは意外でした。

このとき私が出向いたのは、JR蒲田駅の隣にある大田区役所なのですが、この建物は、バブル時代の日本経済の光と影を凝縮したようないわくつきの物件です。ほとんど区役所に来ることなどないので、せっかくだからと中から外から眺め回しましたが、六本木ヒルズや品川や汐留の再開発ビル群を見慣れてしまうと、場末のちょっと小綺麗な雑居ビル、という感じしかありません。

しかしバブル時代には、このビルを羽田空港拡張工事に連動させた臨空副都心の拠点として、銀座、赤坂、六本木の雰囲気をもっと洗練された形で蒲田に持ち込む(!)という壮大なプロジェクトが構想され、巨大な利権と化したことがありました。最大の当事者である桃源社社長自らが実体験を綴った「蒲田戦記」(佐佐木吉之助著)に、このビルにまつわる事件の顛末が詳細に語られています。オススメ。

蒲田戦記―政官財暴との死闘2500日

050531

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2005.05.27

デルのサポート

当事務所ではここ7~8年、デル製のパソコンを使っています。価格が安くて性能も十分、そして何より、余計なおまけソフト類がついていないのが気に入っている点です。

数年おきに買い換えしながらトラブルもなく使い続けてきましたが、数ヶ月前に突然、買い換えたばかりの液晶モニターが使用中に真っ暗になるという現象が起きました。他のPCのモニターと置き換えたりして調べるうち、モニターのハード的な問題と想像できましたので、直ちにサポートへ電話、やはりモニターの初期不良だったようで、速やかに良品と交換してもらいました。

ところで本日届いた日経ビジネス5/30号に「王者デルの不覚」という特集記事があります。パソコンのアフターサービス調査で1位を守り続けてきたデルが、突然7位まで順位を落としたとのこと。記事には、中国(大連)のコールセンターの評判がよくないのが順位低下の原因、とあります。

「(大連で確保した中国人オペレーターは)皆、日本語はそこそこうまい。だが、製品に不満を抱きながら電話してくる顧客を相手に、会話のキャッチボールができる人は、ほんの一握りしかいなかった。」(同誌)

先のトラブルの際、電話で応対してくれたのは若い女性でしたが、発音が微妙にぎこちなく、マニュアルを読み上げているようなしゃべりから、海外のコールセンターへ繋がったとすぐに想像できました。「さすがデル、コストダウンに余念がない」と感心しつつも、こちらも文法的に正しい日本語を心掛けながら会話したことは確かです。(口語調で話したら通じなかった。)

トラブルはマニュアルで解決しても、電話で強いられる(余分な)緊張感が、順位を下げている原因ではないかと想像しますが、いかがでしょう? これは日本語圏でのコミュニケーションサービスの課題かもしれません。

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2005.05.19

不動産所得がなくなる?

財務省のメール配信サービスに登録していて、税制がらみの情報があると、たまにウェブサイトまで見に行くのですが、ちょうど先ほど来たメールに「5月17日開催の税制調査会基礎問題小委員会後の石会長記者会見の模様」というのがありましたので、さっそく目を通してみました。

この会見について、日経は18日の朝刊で「長者番付について廃止を含めて検討」としか触れていませんが(13日の総会後の会見については、14日の朝刊で「退職金課税を強化」と大きく報じています)、注目すべきは
「恐らく一番大きく今後議論しなきゃいけないというのが不動産所得。これはそもそも必要かどうかということを踏まえまして議論します。」
「不動産、一時、雑所得、この3つが存廃を含めて議論しなきゃいけない」
「そもそもの資産合算がなくなった以上は、その時作った不動産所得を残しておく理由がないんじゃないか」
という会長の発言でしょう。

税率や控除額をいじるといった小手先の調整ではなく、所得区分にまで踏み込んだ大改革に進んでいくのかどうか、今後の動きを注視していく必要がありますね。

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2005.05.18

続・税理士には2種類ある

かねてからの持論なのですが、「税理士には2種類ある。タテ書き税理士とヨコ書き税理士である。」

タテ書き税理士というのは、大学で言えば法学部法律学科ないし文学部哲学科系。抽象的概念を自在に操り、議論を好む。ちょっと理屈っぽいが、正義感が強く、税務調査では徹底的に争う。調査官泣かせ。
<好きな本>文学、社会科学系のタテ書きの本
<好きな雑誌>文藝春秋(タテ書き)
<好きなソフト>一太郎
<見分け方>名刺がタテ書き。携帯番号も漢字でタテに書き、よく読み間違えられる。

一方のヨコ書き税理士というのは、大学で言えば商学部・経営学部ないし工学部系。数字を自在に操り、最大利潤を追求するのが好き。税務調査では、すぐに落としどころをさぐる。
<好きな本>MBAなどの冠のついたヨコ書きのビジネス書
<好きな雑誌>、日経ビジネス(ヨコ書き)
<好きなソフト>エクセル
<見分け方>名刺がヨコ書き。得意気に自分のWEBサイトのURLなどを載せている。

これを税理士タテヨコ論と言っていろんな人に話してみるのですが、みなさんあまり賛同してくれません・・・

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2005.05.10

税理士には2種類ある

050510連休ボケもようやく解消、あとは今月末まで決算業務に邁進です。といっても、ボケるほど休暇を取ったわけではなく、海を眺めてボケーッと一杯やっていただけなのです・・・


ところで先日、同業者による新規ビジネス起ち上げのミーティングがあって参加してきたのですが、その参加者の1人がおもしろいことを言っていました。「士業(例えば税理士)には2種類ある。一つは営業型、もう一つは学究型。みなさん学究型の方が知識も豊富で仕事もできて凄いと思いがちなんだけど、実はこのタイプはいくらでも代替がきくんですよね。(学究型の税理士を駒のように使いこなす営業型(ないし事業型)の税理士こそ、ビジネスの勝者である。)」という趣旨だったと思うのですが、(「超一流」のスペシャリストは別として)単なるスペシャリストレベルだったら、今の時代、掃いて捨てるほどいる、というのは、ある意味正しい見方なのかなと思いました。

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