明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
新年早々硬い話で恐縮ですが、年末に気になった税務関連の訴訟の記事をご紹介しましょう。96年3月期に旧日本興業銀行(現みずほコーポレート銀行)が行った旧住専に対する不良債権処理(無税償却)を国税当局が否認、興銀側は「大蔵省から処理を迫られ債権放棄を拒むことは不可能だった」と猛反発して争われた事案です。
一審は「社会通念上債権の回収が不能であれば損失処理は可能である」として興銀側勝訴、二審では逆転敗訴となり、今回の最高裁での判断が注目されましたが、結果は旧興銀側の逆転勝訴、国側の全面敗訴が確定しました。
税務上の判断のポイントはここでは触れませんが、気になったのが還付される還付加算金の巨額さです。みずほ側は追徴分1500億円(地方税も含めると2200億円)を仮納付していましたので、勝訴したことによりこれが還付されるわけですが、さらに利息分として還付加算金(税を滞納した場合に課される延滞税の反対に相当するもの)が約600億円(地方税も含めると約1000億円)もプラスされることになります。利率はこの時代になんと4.1~7.3%!
みずほ側は「判決が12月24日なので思わぬクリスマスプレゼント」と喜んでいるようですが(当然ですね)、冷静に考えると「ツケは国民に:国税当局の判断ミスで生じた国民負担」(日経新聞)でもあるわけです。
もう一つ、今回は国側敗訴となりましたが、一般に税務訴訟は納税者の主張が受け入れられる可能性が低いのが現状です。「(今回の訴訟について)国側の代理人となった検事にしても高裁の判事にしても、税務の素人で何もわかっていない」「税務に詳しい裁判官が少ないため調査官という肩書きで国税庁の職員が裁判所に出向し判決の草案を書いている。だから国に不利な判決になるわけがない」(週刊ダイヤモンド1/1号)というコメントが実態を現していますね。