サラリーマン法人 1
景気低迷で雇用が不安定になっている世相がサラリーマン向けのビジネス書籍の売れ筋にもあらわれています。
ちょっと前は「年収300万円時代」でした。その後は「週末起業」など起業系、これにネットビジネスが結びついた「ネットショップ」「アフィリエイト」などの副業系が目立ちますが(このあとは「ブログ」か?)、いま私が注目しているキーワードは「サラリーマン法人」です。
サラリーマン法人とはいったい何でしょうか。
一言でいうと、サラリーマンが法人を設立し(出資者=社長=従業員=自分)、見かけ上は現在の勤務状態を保ったまま、会社との契約を「雇用契約」から「業務委託契約」に切り替え、従来の給与収入を今後は法人の売上とし、自分はサラリーマン法人から給与を受け取る形にすることで税制上のメリットを享受する、というものです。
以前でしたらこのようなアイデアは「机上の空論」として真剣に検討されることもなかったでしょうが、終身雇用制の崩壊や成果主義といった雇用に対する企業の考え方の変化、年金など国の制度に対する不信感から、にわかに現実性を帯びてきました。
サラリーマン法人は、制度の盲点を突いて節税を図るというテクニカルな部分が注目されがちですが、もっと重要なのは、サラリーマン自らが納税者となることにより納税意識を目覚めさせ自立するということにあります。さらに米国の先例などから見れば、産業革命以降に生じた「仕事と家庭の分離」がIT革命により再び融合していくという、経済史の流れの中で捉えるべき大きな社会的変革、といえましょう。そういう意味では、サラリーマン法人という言葉は適当ではないかもしれません。
このテーマ、随時フォローしていきたいと思います。
p.s.
書店で文庫本の新刊コーナーをご覧になって下さい。
「超」整理法で有名な野口悠紀雄教授の「「超」納税法」という本が最近文庫化されていますが、その帯には「サラリーマン法人」の文字が派手に躍っています。